<講演>「OTデータの最適活用が導く発電事業の最適化事例と先端技術」

 ◇AVEVA Industrial Platform & Application事業本部 ソリューション戦略担当部長 大野高明氏
 

大野 高明氏

 再生可能エネルギーシフトの重要性が高まる中、洋上風力発電への関心が高まっている。ただし、洋上風力発電はLCOE(ライフサイクル全体を考慮した発電量あたりのコスト)が陸上風力発電の2倍と高いのが課題だ。
 そこで発電操業のあらゆる面でLCOE改善に寄与するのがAVEVA PI System(アヴィバパイシステム)だ。LCOE改善には、現場のあらゆるセンサーやシステムからOT(制御・運用技術)データを収集することが必要だが、現状は収集周期やデータ出力のプロトコルがそれぞれで異なることがボトルネックだ。これに対しAVEVA PI Systemはこれらのデータをプロトコルの制約なく集約し情報整理・伝達できるため、ユーザーはOTデータを最大限利活用し、迅速な保守対応や意思決定ができる。
 例えば、デンマークのオーステッドは、過酷な環境下にある洋上設備の詳細な状況を地理データと統合し、作業計画の最適化と労働安全性の向上、操業コストの改善を実現した。
 また、オーストラリアのエナジークイーンズランドでは送配電量の影響因子をリアルタイムでとらえるためのデータを一元集約し、気象状況と関連付けて地図上で可視化、送配電設備の稼働率を大きく向上している。
 日本では東京大学海洋空間計画研究所が取り組んでいるシミュレーターと設計データを活用した新洋上風力技術(浮体式洋上風力)の普及を支援していく活動を進めている。
 AVEVAはエンジニアリングやオペレーションデータを有効に利活用することにより電力業界の最適化、LCOE改善とユーザーの業務改善を支援していく。

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