<講演>「DERMS of The Future――カーボンニュートラルを支える分散電源社会のDER制御」

 ◇シュナイダーエレクトリック サービス事業部バイスプレジデント兼パワー&グリッド セグメントリーダー 青柳亮子氏
 

青柳 亮子氏

 電化と脱炭素化を含むエネルギーの転換を実現するための投資が世界中で活発に行われている。日本でもGX促進への投資戦略が検討されているが、今後10年間に世界全体で約1兆ドルの投資が電力業界における脱炭素への技術に投資されるといわれている。
 GX実現に向けた再生可能エネルギー拡大のためには、送配電網への物理的な投資も必要となるが、その投資を最小化する方法がソフトウエアを活用したデジタル制御による管理だ。このため、当社では、IoTプラットフォーム「エコストラクチャー」を構築し、グリッドのライフサイクルに基づいた各種ソリューションを展開している。
 このうち再エネなどの分散型電源を効率的に最大限導入するソフトとして、「エコストラクチャーDERMS(分散型エネルギー資源管理システム)」がある。系統全体のフィーダーの制約を改善するのに有効で、既に保有している配電管理システムが他社製であっても組み込むことができるのも特長だ。
 これとは別にDERMSのもう一つの手法として、ダックカーブ(需要と供給の不均衡)の改善に役立つ「オートグリッドフレックス」もシュナイダーグループのソリューションとして提供している。どちらのソフトを活用するかは、顧客の優先順位によるが、最近は両方導入して総合的に管理していくというケースが北米や欧州、豪州でみられるようになってきている。
 脱炭素化に向けたDER統合の加速は大きなチャレンジであり、新規に送配電網に投資しなければならないというプレッシャーもあるかもしれない。こうしたソフトの活用で、既存の資産を最適化し、運用していくといったことが今後の重要なビジネスチャンスになると考えている。