<講演>「IQGeoが提唱する次世代ネットワーク管理の姿」

 ◇IQGeo アジア太平洋州担当シニア・バイスプレジデント兼日本法人会長 クリスチャン・ヴィルト氏
 ◇IQGeo Japan ジェネラル・マネージャー 山口達也氏
 

クリスチャン・ヴィルト氏

 これまでのGIS(地理情報システム)はデスクトップに重点を置いており、オフィスを出た後、フィールド(現場)では紙ベースで作業が行われ、最終的にオフィスに戻って作業がやりなおされるというプロセスだった。
 IQGeoの基幹コンセプトとなる「アダプティブ・グリッド」は、現場とオフィスの障壁を取り払うモバイル・ファースト・アーキテクチャー(設計思想)に基づいている。オフィスから現場に持ち出したモバイル端末を使って情報の編集や変更などが行われた場合、システムに自動的に反映される。
 アダプティブ・グリッドがサポートする様々なワークフローはネットワークモデル上に構築されている。例えば、電柱新設や移設といった案件では計画・設計から施工・工事、運用・保守、災害対応までのワークフローの全てを使いやすい単一の共通プラットフォームであるアダプティブ・グリッド内で行うことができる。

山口 達也氏

 具体的な活用例を挙げると、再生可能エネルギーの拡大を受けて、太陽光パネルやバッテリー増設のニーズに対応し、新設する機器の属性登録が必要になるが、作業はほぼ数分単位で完了するなど電力グリッドのダイナミックな変化に即座に対応できる。
 また新築住宅に引き込み線をつなぐ場合、現場においても端末のマップ画面上で対話形式によりルートや機材選択といった必要なプロセスが表示され、容易に設計することも可能となっている。
 米国では現場作業員の支援や簡易設計自動化、送電設備の点検自動化などで実績がある。日本では約5年前から事業を開始し、電力会社においては台風など自然災害への対応業務をはじめ基幹業務の一部でも導入されている。

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