◆2015年に改定された「最終処分基本方針」の骨子

○将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で取り組みつつ、可逆性・回収可能性を担保し、代替オプションの技術開発も進める
○事業に貢献する地域への敬意や感謝の念の国民間での共有を目指す
○国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れる
○地域への合意形成や持続的発展に対して支援を行う
○技術開発の進捗などについて原子力委員会が定期的に評価を行う

 

◆放射性廃棄物の地層処分とは/生活空間と完全に隔離

 

 日本では原子力発電によって生じる使用済み燃料を、英仏や日本原燃の使用済み燃料再処理工場(青森県六ケ所村)でウランとプルトニウムに分離し、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料として再利用する核燃料サイクル政策を取る。再処理の過程で発生する高レベル放射性廃液は、溶融炉でガラス原料と混ぜて固められる。このガラス固化体が高レベル放射性廃棄物で、地層処分の対象になる。英仏での再処理に伴い発生した固化体は、原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで一時保管されている。

 

 高レベル廃棄物は、放射能レベルが減衰するまで長期間を要するため、生活空間から隔離するとともに、人間による管理に委ねずに済むような方法で処分する必要がある。それに適した方法が、地下深部での隔離。地下300メートル以深に処分施設を建設し、オーバーパックと呼ばれる金属容器や、水を通しにくい粘土で覆った上で、その施設内に埋設する。

 

 地下深部の岩盤は安定しており、それ自体が生活空間と高レベル廃棄物を隔離する「天然バリアー」の役割を持つ。地上で保管・処分するよりも、地震や津波といった自然災害の影響を受けにくく、安全上のリスクも小さい。海洋投棄や宇宙処分などの研究・検討も重ねられてきたが、地層処分が最善の方法という点は、国際的にも共通した考え方になっている。

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