2017年1月に創刊した電子版を紹介
2017年1月に創刊した電子版を山地氏に紹介

 

変革期にあっても安定供給の重要性は変わらない

 
間庭 大きな変革がもたらされる可能性が高くなっている一方で、安定供給の重要性は変わりません。その方策の一環として、容量市場、需給調整市場などの制度設計が本格化していますが、その仕組みはかなり複雑です。真に安定供給に役立つ仕組みとするために、電気新聞も専門新聞としてできるだけ多くの方が理解し、納得した制度ができるよう、分かりやすい解説などこれまで以上に情報発信のやり方を工夫していきたいと考えています。
 
山地 いくつもの市場整備が並行して検討されていますが、全体として整合的な仕組みにできるのかどうか、心配な面もあります。新しい市場設計を含め、今の電気事業は理解するのが大変に難しく、一般のメディアではなかなか解説し切れていません。そうした点で、専門新聞としての電気新聞の役割に期待しています。
 
間庭 風力、太陽光など再生可能エネはどんどん増えていますが、その普及を後押しする賦課金の国民負担についても、正確に理解してもらうための情報発信が重要だと考えています。
 
山地 国民負担は全体で今年度には2兆円を超えると予想されています。消費税を1%上げる額に匹敵するもので、高くつく政策であることは間違いありません。こうした負担について正しく理解してもらうことは、とても大事なことです。
 

原子力の客観的情報が極めて重要

 
間庭 今後、再生可能エネの活用は重要になるでしょうが、やはり原子力、火力などベースとなる供給力も必要です。しかし、依然として原子力の必要性に対する世論には厳しいものがあります。
 
山地 原子力について人々には「頭と心の葛藤」があると思うのです。「恐い」「信用できない」というのは心の問題です。エネルギーの安定供給や温暖化対策にとって原子力は必要と考えるのは頭の話で、両者の葛藤ですね。確かに東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、国民の不安はまだまだ払拭されていないのは確かですが、政治は国民の心に寄り添うことを重視し、一般のメディアの多くも、心に訴える情報に偏りがちで、バランスを欠いているように見受けられます。
 
間庭 我々も肝に銘じなければいけないと感じています。心の問題、頭の問題、いずれの面でも冷静に判断するための客観的な情報の発信に努めていかなければなりません。
 
山地 国民生活を守る安定したエネルギー政策のためには、客観的な情報は極めて重要です。
 
間庭 システム改革、デジタル化の動き、さらには原子力問題など複雑化する電気事業について分かりやすく解説し、より多くの人に理解してもらうことが大切だと考えています。そのための取り組みの一つとして、いつでも、どこでも電気新聞の情報を読んで頂けるよう、今年1月に電子版を創刊しました。スピードが求められる変革の時代のツールとして、読者に親しんでもらえればと思います。
 
山地 大きな変革の時代。これまでの常識では、先を見通すことが困難になりました。変化を先取りする報道というのは難しいことだと思いますが、逆に言えば、読者の期待もそこにあるのではないでしょうか。スピード感を持った分かりやすい報道に、私も期待しています。

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