京都市内で中学生と交流したスタンケ氏。原子力の重要性や、今後の可能性について語りかけていた

◇原子力技術者・スタンケ氏がエール

 元ミス・アメリカで米原子力大手コンステレーション(旧エクセロン)の原子燃料エンジニア、グレース・スタンケ氏が11日、京都市内で中学生と交流した。スタンケ氏は自身が原子力工学を学ぶことを決めた経緯や、その魅力、可能性などを生徒に伝えた。ミス・アメリカとしての様々な場面で原子力活用の重要性などをPRしてきた経験も踏まえ、進路やキャリアを築いていくには「自分を信じて、自分のやってきたことに自信を持つことが大切」などと呼び掛けていた。

 スタンケ氏は、京都市北区の京都教育大学付属京都小中学校を訪問。同校はエネルギー教育に力を入れており、毎年、青森県や福島県の原子力・エネルギー関連施設の見学を実施している。11日の交流会には、中学2年生の6人が参加。スタンケ氏は10代の頃、大学で原子力工学を専攻するつもりだと父親に相談した際、反対されたと紹介。「(父親の反対で)余計に決心が固まった。最初は反抗心だったが、大学で学び始めて、すぐに原子力は発電だけでなく日常生活の中に様々な形で生かされている、魅力的な分野だと気づいた」などと振り返った。

 その後、生徒らが「総合的な学習の時間」で取り組んだ、エネルギー問題に関する研究成果を英語で発表。スタンケ氏と意見交換を行った。生徒の一人は「なかなか質問に上手く答えられず実力不足を感じたが、身振り手振りも交え自分の考えを伝えられた。とても良い機会になった」と感想を述べていた。

 12日には、近畿大学東大阪キャンパスの原子力研究所(大阪府東大阪市)を訪問。近大原子炉「UTR―KINKI」を見学するとともに、14人の学生らと意見交換を実施。参加した学生から「原子力を学んでも就職の際、親や友達から反対され(原子力分野への就職を)断念する学生が、特に女性で多い」という声があった。スタンケ氏は、当初は原子力工学科への進学に反対していた父親が、がんの放射線医療を受けたことで考えが変わったとして「自分の思うとおりの道に進むべき」とエールを送っていた。

電気新聞2024年4月15日