政府は26日、首相官邸でGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議を開き、GX2040ビジョン案をまとめた。脱炭素電源の近傍に産業を集めるための政策措置を講じる。AI(人工知能)やロボットなどのデジタル技術を活用する企業に対し、脱炭素電力の利用を促す措置を検討する。自治体が脱炭素電源を整備するインセンティブも与える。エネルギー政策と産業立地政策を連携させる方針だ。

 データセンター(DC)と電力系統の整備を一体的に進める。電力系統の整備は通信基盤の整備より時間を要すると課題を指摘した。そのため電力系統の適地にDCの立地を誘導し、次世代通信基盤の整備を電力系統の整備と整合性を持たせながら計画的に進める。

 今後、GX経済移行債を活用した新たな支援策を検討する場合に、脱炭素への貢献のほか、デジタル赤字の解消や産業競争力の強化、電力インフラの効率的な活用といった観点を重視する。脱炭素電力などクリーンエネルギーの利用が製品・サービスの付加価値となり、経済成長を牽引させる。GX関連製品・サービスを扱うスタートアップの支援策も講じる。

 エネルギー関連では再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、バランスの取れた電源構成を目指す。再エネはペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力、次世代地熱発電の社会実装を進める。原子力は再稼働の加速とともに、次世代革新炉への建て替えを具体化する方針だ。

 中堅・中小企業のGXも支援する。エネルギー消費量や排出量の算定・見える化を行うため、省エネ診断の充実や排出削減計画の策定支援などを行う。

 アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)を通じて東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力を強化する。GX推進機構による債務保証や出資などの金融支援を推進し、民間のリスクを補う。

電気新聞2024年12月27日