
環境省は15日、2030年度までにカーボンニュートラルの実現を目指す「脱炭素先行地域」に選んだ2県14市町へ、選定証を授与した。プロ野球・福岡ソフトバンクホークスが本拠地とする「みずほPayPayドーム」の屋根に、3千キロワットのペロブスカイト太陽電池を設置する福岡市の計画などが選定された。
都内で授与式が開かれ、浅尾慶一郎環境相が「選定では、脱炭素と地方創生の同時実現を目指すストーリーや取り組み、地域脱炭素の基盤づくりが明確なものが高く評価された」とあいさつ。2県14市町の代表者に選定証を手渡した。
27年にペロブスカイト量産を始める積水化学工業と計画を共同提案した福岡市の中村卓也環境局長は、「ペロブスカイトを最大限活用して大都市型の脱炭素モデルをつくっていく」と意気込みを述べ、3月に小学校体育館へ設置する計画にも触れた。
他の脱炭素先行地域としては、東北電力などが共同提案者に名を連ねる岩手県釜石市を選定。東日本大震災の経験を踏まえ、防災・レジリエンスを題材に実施してきたサステナブルツーリズム(企業研修)に、脱炭素をテーマにした研修プログラムを取り入れる。
広島大学のキャンパスがある広島県東広島市では、学生街の集合住宅で太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメントを行い、高圧・低圧を問わない一括受電サービスを提供する取り組みなどが評価された。
先行地域に選ばれると、原則5年間、最大50億円が交付される。選定は5回目で、これまでに81の先行地域が選ばれた。25年度までに100地域にする計画。
電気新聞2025年1月16日