エルガイアおおいのシアターでのVR体験の様子
エルガイアおおいのシアターでのVR体験の様子

 関西電力は、原子力発電の仕組みや安全対策への理解を広める目的で、福井県おおい町の原子力PR施設「エルガイアおおい」の大型スクリーンで上映する発電所の見学プログラムに、VR(仮想現実)技術を組み合わせた。従来と同様に発電所内を疑似見学できることに加え、CG技術を使った立体映像で原子炉容器やタービンの規模も実物大で体感できるようにした。電力会社のPR施設で、シアターとVRを組み合わせて常設するのは初めてという。23日に本格運用を開始した。

 関電のPR施設でVRを導入したのは3カ所目となる。同施設にある高さ6メートル×幅22メートルの大型スクリーン「シアターガイア」で、1日に3回上映するプログラム「バーチャル見学ツアー」にVRスコープを導入。シアターの座席数に合わせて、VRスコープは80台を用意した。

 バーチャル見学ツアーは約20分のプログラム。VRを使った新たな内容として消費地の大阪上空から若狭地域まで、電気が届けられる道筋を疑似的にさかのぼる演出を導入した。原子炉容器やタービンを実物大で表示する演出も加えた。VRを使うことによる没入感を体験してもらう狙い。

 発電の仕組みや核分裂反応の概要、発電所の安全対策などはスクリーンで解説する。発電所構内の疑似見学では大飯発電所の使用済み燃料ピットやタービン建屋など、放射線管理区域を見ることができる。VRスコープとスクリーンのいずれでも視聴でき、大画面による臨場感も体感できるようにした。

 関電は、原子力発電の理解活動に注力している。見学用のVRは17年8月に大飯発電所で、続いて18年1月に美浜発電所で導入した。今回は先行する2カ所のノウハウを活用した。

電気新聞2019年3月25日