◆【論点4】将来の電力ビジネス展望

 ◇顧客と共に「共創の時代」 小川氏/◇基盤支える人財確保に力 山本氏

 

 司会 最後に、それぞれが描く「在りたい姿」を伺いたい。

 

 小川 安全確保を前提に、全ての電気をゼロカーボン化し、S+3Eを達成できる電源の最適な組み合わせの実現を目指す。また、お客さまと共に価値をつくる「共創の時代」を迎える。お客さまや社会のゼロカーボン化に向けても、当社グループの持つ幅広いリソースを活用しながら新しい価値を創造していきたい。

 

 渡部 世界情勢を含めて、取り巻く環境には不安定さがあり、かつ振れ幅が大きい。様々なオプションを持つ重要性は増す。課題は多岐に及ぶが、これらをファーストムーバーとして包括的に解決することで、世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを届けたい。

 

 山本 一般送配電事業者の公益的な使命は今後も変わらない。電力ネットワークは、電力ビジネスに関わる全てのプレーヤーにとっての基盤であり、その維持・次世代化のためにも人財確保は不可欠だ。働き手にとっても魅力的な業界であり続けたい。

 

 都築 電気の価値と、付帯する環境価値を、エネルギー業界だけではなく、他の業界の価値に変換することで、その価値も高まる。複雑化するサプライチェーンの中で、あらゆるプレーヤーが公平に取引できる場を提供する「エネルギープラットフォーマー」を目指していく。

 

 松尾 GXは不確実性が高く、自由化の現状を併せて考えると、小売りや需要家側のリスクが高い時代になると言える。小売事業者は調達・販売双方で多様な選択肢を確保することが極めて重要だ。事業をポートフォリオでとらえることを、一層強く意識しなければならない時代だろう。

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