「信州産電力」の価値向上へ手を組む4者の関係者(右から2人目が三谷部長)

 中部電力、長野県企業局、丸紅新電力(東京都中央区、山本毅嗣社長)、みんな電力(東京都世田谷区、大石英司社長)の4者は3月26日、長野県内にある17カ所・計約10万キロワットの公営水力発電所の電気を販売するプロジェクトを同日から開始した。水力による二酸化炭素(CO2)フリー価値や地産価値を活用し、中部電力、丸紅新電力、みんな電力の3社がそれぞれ長野県内や首都圏などで契約する法人顧客を中心に「信州産電力」を供給する。

 プロジェクト名は「信州Greenでんき」。電気の売買にとどまらず、顧客参加型のプロジェクトとすることで「信州産電力」の価値向上を図り、地域の発展につなげることを大きな狙いとする。

 従来の県営水力の売電は「高遠」「奥裾花第2」の2水力が丸紅新電力、その他の水力は中部電力が契約先で、丸紅新電力はみんな電力を通じて大都市に電気を販売していた。契約満了を踏まえて行われた20年度の小売事業者募集の結果、中部電力など3社によるコンソーシアムに一括で売電されることになった。20年度の発電電力量は約3.4億キロワット時を見込む。

 3社は既存の顧客基盤を組み合わせ、「RE100」加盟企業などとの接点を生かし、信州産電力を様々なエリアの顧客へ販売する。利用者は通常の電力料金に加えて、環境価値に相当する対価を支払うことでCO2フリー電力や地産電力の利用が可能になる。特に、法人は信州産電力の利用をPRできる。

 今回の取り組みでは丸紅、中部電力、長野県伊那市が参加する地域新電力の「丸紅伊那みらいでんき」とも連動する。同社は公営水力の電力を取り入れることで、より高い地産地消率の実現を目指す。

 26日に長野県庁で4者が事業内容を説明した。三谷建介・中部電力販売カンパニー長野営業部長は、「長野県の新たな再生可能エネルギーの開発にもつながる、お客さま参加型の取り組みと考えている。今回のプロジェクトを通じて、電気の新しい価値を感じて頂ければ」と話した。

電気新聞2020年3月27日