帝国データバンク調査で判明
新電力の4分の1以上が倒産や撤退、契約停止に追い込まれたことが、帝国データバンクの調査で分かった。断続的な卸電力市場の価格高騰が要因。新電力の間では約款や料金プランを改定して利幅を厚くする傾向がみられ、新規受け付けを再開する動きもわずかながら出てきたが、苦境はなお続いている。同社は新電力の今後について「財務基盤の強弱で二極化していく」と予測している。
2021年4月時点の登録小売電気事業者は706社。そのうち195社(27.6%)が、23年3月24日時点で倒産・廃業、電力小売事業の撤退、契約停止(一部新規申し込み停止を含む)となっている。昨年3月時点で31社、昨年6月時点で104社、昨年11月時点で146社と右肩上がりで、今回の195社は昨年3月時点と比べて6.3倍に膨らんでいる。
内訳は、倒産・廃業が前回調査比4社増の26社、撤退が同24社増の57社、契約停止が同21社増の112社。倒産・廃業では、東北電力と東京ガスが出資するシナジアパワー、日本電灯電力販売などが新たに加わった。
昨年12月の日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場のシステムプライス平均は1キロワット時当たり約25円で、前年同月比47.1%高だった。帝国データバンクが推計した昨年12月の新電力の販売価格平均は同約32円27銭で、前年同月の同約19円08銭から約7割上昇している。
その結果、昨年12月の新電力の販売利益は同約7円23銭となり、前年同月の同約1円73銭を大きく上回った。帝国データバンクは、調達価格の上昇分を販売価格に反映させたことで「利益は電力ショック以前の水準まで改善傾向にある」と評価している。
帝国データバンクは新電力の事業撤退動向について定期的にウェブで調査しており、4回目の調査結果を29日に発表した。
電気新聞2023年3月31日