中部電力は31日、医療機関と患者をつなぐプラットフォームの構築や新サービス開発に乗り出すと発表した。医師と患者で双方向のコミュニケーションがとれる環境を整備し、適切な生活指導や病気の早期発見につなげる。同社は慶応義塾大学病院と連携し、スマートメーター(次世代電力量計)などのデータを患者の診療に活用する共同研究を1月から開始。在宅患者の見守りや遠隔診療支援に必要なデータを収集・分析し、医療サービスの向上を目指す。

 今回の共同研究は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環。慶大病院を受診している患者100人程度を対象に、在宅時のデータを活用する。研究期間は2023年3月までの予定。

 研究では家庭内に設置されたスマートメーターや環境センサー、バイタルセンサーなどを通じて、宅内の電力使用量や室内温湿度、患者の心拍数などの個人データを収集。これらのデータを医師に提供し、患者の的確な生活指導や宅内環境の改善に生かす。

 宅内データの収集には、中部電力とインターネットイニシアティブ(IIJ)が共同設立したネコリコ(東京都千代田区、佐々木克之代表社員職務執行者)のデータ中継装置「Cube」を活用。電力使用量に関しては、スマートメーターのBルートを通じて収集する。

 また、中部電力は慶応大学発の医療関連ベンチャー、メディカルデータカード(東京都新宿区、西村邦裕社長)と業務提携することで合意した。昨年10月に第三者割当増資を引き受け、メディカルデータカードの株式を取得した。出資比率や出資額は非公表。個人の医療・健康情報を一元的に管理できる同社のサービスを活用し、医療機関から検査結果や処方箋データなどの情報を患者に提供する。

電気新聞2020年2月3日