収録前後に池辺社長(右から1人目)ら出演者が笑顔で会話していた

◆社員と対話、出張企画も

 九州電力の池辺和弘社長が出演して、同社グループの最新の取り組みを紹介する動画「KAZ(カズ)サイト」が注目を集めている。九州電力本店が入る電気ビル本館(福岡市)内にスタジオを設け、週1回のペースで収録を行う。社内向けとして制作を始めたが、「社外からの問い合わせが増えている」(九州電力)ことを受け、動画投稿サイトを通じた公開も進めている。

 グループ内の様々な社員と「意見交換がしたい」との池辺社長の要望もあり、就任翌月の2018年7月から始めた。足元で計243回を数える(3月7日時点)。

 動画では、九州電力グループの新規事業や新サービス、社内向けの新制度などを池辺社長と社員の談話形式で分かりやすく紹介している。時間は10~15分程度が多い。池辺社長が会社を飛び出して、自ら新規サービスなどを体験する「出張企画」もある。

 企画内容は、九州電力の広報部門と新規事業を管掌するコーポレート戦略部門、秘書室が参加する会議などを経て決める。各部局やグループ会社からの企画提案も多いという。九州電力広報推進グループのほか、ディレクターや進行役のキャスター、音声担当など専任スタッフ6人も参加して、毎週撮影を行う。

 当日の内容に最も詳しい社員に出演してもらうことにしているため、若い世代の社員が出演することも多い。経営層に若い世代の考えや知見を共有する「逆メンター制度」をテーマにした2月末の収録にも、30代の社員2人が参加していた。

 番組中の呼び名はお互いに「さん付け」。池辺社長は終始「カズさん」だ。収録の前後には池辺社長が軽い雑談を向けるなど、和やかな雰囲気が漂っていた。

 社外向け発信も強化している。池辺社長の公式YouTubeチャンネル「九電カズヒロチャンネル」でカズサイトのリメーク版の配信を昨年4月から開始。3月7日時点で計22本の動画をアップロードしている。

電気新聞2024年3月12日