福島第一2号機にサソリ型ロボ投入 制御棒駆動装置運搬用レール周辺を撮影


調査を行うサソリ型ロボ
調査を行うサソリ型ロボ(IRID提供)

 
 東京電力ホールディングス(HD)は16日、福島第一原子力発電所2号機の格納容器内に「サソリ型」の調査ロボットを投入した。ロボットは原子炉の真下につながる制御棒駆動装置(CRD)運搬用レール上を移動しながら、周囲の構造物の状況を撮影し、線量や温度も計測した。2号機の格納容器内部調査はこれで一区切りとなる。東電HDは今後、国際廃炉研究開発機構(IRID)などとロボットが収集したデータの分析を進め、溶融燃料(燃料デブリ)の取り出し計画に反映させる。

 同日夜に開いた記者会見で、岡村祐一原子力・立地本部長代理は「温度や放射線量、映像などのデータが収集できたのは快挙。廃炉を進める上で大きな一歩になる」と話した。

 2号機では溶融した燃料の一部が原子炉から溶け落ちたと見られており、今回の調査では、燃料デブリの状況を確認できるかどうかが最大の関心となっていた。今回はそこまでには至らなかったが、一連の調査で新たに分かったことは多い。


⾃⾛式調査装置による2号機調査結果
事前調査で得られた画像を処理してつなぎ合わせると、広範囲でグレーチングが脱落しているのが確認できた(IRID提供)

 1月下旬の事前調査で得た画像からは、原子炉圧力容器直下のグレーチング(金網)が広範囲で脱落している状況が判明した。さらに、金網やCRDレール上には付着物が堆積しており、場所によって付着物の性状が異なることも分かった。付着物が何かは現時点で分かっていないが、サソリ型ロボが撮影した映像を解析することで、新たな情報が得られる可能性がある。

 格納容器内部に高線量の線源が存在することも確認できた。サソリ型ロボの線量計は、CRDレール上で毎時約210シーベルトを計測した。ただ、事前調査で撮影した映像のノイズから推定した線量は、ほぼ同じ地点でも毎時約650シーベルトで、整合性が取れていない。高線量の線源の正体、ほぼ同じ地点でも線量が異なる原因については、今後の分析課題となる。

 サソリ型ロボの調査では、CRDレール上の温度が16・5度であることも確認。原子炉の安定した冷却が継続していることの裏付けとなった。

 廃炉の工程表「中長期ロードマップ」では、今夏に燃料デブリ取り出しの方針決定が予定されている。東電HDは今回の調査結果をデブリ取り出し工法の絞り込みに役立てる。

 燃料デブリの取り出し工法を検討するための調査では、来月にも1号機格納容器に「ワカサギ釣り型」のロボットが投入される予定。格納容器内の水位が高い3号機は、水中遊泳型ロボットで調査を行う計画。


<外部リンク>東京電力ホールディングス・報道配布資料「2号機原⼦炉格納容器内部調査について〜⾃⾛式調査装置による調査結果〜」※PDFファイルが開きます

<外部リンク>東京電力ホールディングス・報道配布資料「有識者のご意見(2号機PCV調査)」※PDFファイルが開きます

<外部リンク>東京電力ホールディングス・廃炉プロジェクト報道発表資料のページはこちら