◆電気事業制度改革 法的分離実施、エネ強靱化法成立。初入札の容量市場が高値に

 

新たに設置された「電源開発送変電ネットワーク」の看板(2020年3月27日、埼玉県川越市)

 4月1日には、電力システム改革の総仕上げとなる、大手電力各社の送配電部門の法的分離が実施された。東京、沖縄を除く8社で同日、式典が行われた。

 同日付から3回にわたり「変革期の挑戦 送配電 新たなステージへ」(第3位)として、その課題などについて連載を行った。

 6月にはエネルギー供給強靱化法が成立した(第11位)。これは電気事業法、FIT法(再生可能エネルギー特別措置法)、JOGMEC法(石油天然ガス・金属鉱物資源機構法)の改正を束ねたもの。電気事業法では、託送料金制度について総括原価方式からレベニューキャップ制度への見直し、また災害時の連携強化、電力データの活用などが盛り込まれた。またFIT法については、再生可能エネルギー電源を競争電源と地域活用電源に分け、事業用太陽光と風力は競争電源としてFIP(フィード・イン・プレミアム)に移行させることなどを盛り込んでいる。エネルギー供給強靱化法は22年4月に施行予定で、詳細設計を詰めていく一年となった。

 また、2020年電気事業改革に伴い設置された容量市場では、7月、24年度を対象にした初の入札が行われたが、その約定結果は波紋を呼んだ。

 「容量市場、初の落札価格は1万4137円」(第6位)で報じているように、ほぼ上限価格に近い形となったためだ。容量市場の高騰については、小売り電気事業者から不満の声が上がり、また、一般紙で「需要家負担の大幅増になる」など誤解を招く記事が掲載された。「[容量市場]約定価格、高値で波紋」(第2位)では、「容量市場は本来負担すべき固定費を支払っていない『フリーライダー』に費用分担を求める仕組み」であり、また、「経過措置が講じられるため、実質的な約定価格は9534円となる」と指摘している。また、分析記事「容量市場初入札結果、実際の固定費反映が影響」(第13位)も注目を集めた。

 再生可能エネルギーの取り扱いについても注目度が高かった。第17位の「FIT電気+証書、『再生可能エネ』に改定へ」は、小売り電気事業者に対し、非化石証書とFIT電気の組み合わせで再生可能エネと表示することを認めるというもの。また第18位の「再エネ制御、全国で無制限・無補償に統一へ」は、東京、中部、関西の3社のエリアも再生可能エネの割合が増えてきており、この地域でも無制限・無補償に移行する方針が固まったことを報じた。

 送配電部門の法的分離後も変化し続ける電気事業制度。このため正月特集の「[展望・エネルギー業界]電気事業の転換点」(第16位)や、電力システム改革後の新しい制度と今後の展望についての寄稿(第10位)もランクインした。