「スポット市場、構図に変化/新電力が売り、一般送配電に負担」(第4位、7月11日付)では、調達価格高騰で顧客を切り捨てた一部の新電力が余った供給力を市場で売る動きを紹介。最終保障による穴埋めが、一般送配電、ひいては託送料として需要家の負担になりかねないと指摘しました。

 8月9日付では1面の大きなスペースを用いた解説記事「改革のゆがみ、需要家に/燃料と卸市場高騰 電力の経営圧迫 受け付け停止も」(第12位)を掲載。電力システム改革が目指した「電気料金の最大限の抑制」が果たされていないと訴え、外部要因に耐性がある「持続可能なシステム」に見直す必要性を呼びかけました。

 大手電力の経営は悪化の一途をたどりました。「大手電力10社21年度決算、全社が減益/燃料も卸市場も…高騰直撃」(第13位、5月6日付)では厳しい状況を紹介。22年度中間決算も明るい兆しは見えず、「燃料費調整、上限超過で際立つ負担/期ずれ影響除けば7社が経常黒字」(第11位、11月9日付)では、燃調上限に苦しむ声などを伝えました。

 経営環境の悪化を踏まえ、大手電力の料金改定や改定検討表明も相次ぎました。ランクインした記事は「東電EP、特高・高圧を15~20%値上げ/卸市場変動など反映」(第19位、9月20日付)のみですが、値上げに踏み切る動きが目立ちました。

岸田首相(右から2人目)と意見を交わす電力トップ(左から、小早川社長、池辺会長、樋口社長。10月12日=首相官邸ホームページより)

 エネルギー価格高騰による企業や国民への影響を抑制しようと、国は総合経済対策として予算措置を講じました。「首相、電気料金の負担軽減措置で協力要請/大手電力トップに」(第6位、10月13日)では、岸田文雄総理大臣が電力業界に料金システムなどを含む対応を求めたことを紹介しました。

 日本卸電力取引所(JEPX)スポット価格高騰に関連したニュースでは、9月9日付の「FIT調達、小売圧迫/価格は市場連動→高騰で想定上振れ」が第9位にランクインしました。12年~16年度認定のFIT電源は小売事業者が引き取っていますが、調達価格が21年度からスポット価格連動に変更。これら小売事業者の経営を圧迫していると指摘しました。

 ウクライナ侵攻・エネルギー価格高騰関係の記事を抑えランキング1位となった記事は「洋上風力公募、落札価格に関係者衝撃/迫られる戦略の見直し」(1月5日付)。21年末の入札結果における低価格の「総取り」を受けた、関係者の驚きの声などを伝えました。

 今年は23年度のレベニューキャップ制度開始を控えて、一般送配電事業者の収入見通しに関する査定が行われました。関連する記事のうち「レベニューキャップ、送配電10社が収入見通し提出」(7月26日)が第7位にランクイン。その後の査定を経て、各社は減額した収入見通しの承認申請を実施しました。

 このほか第14位の「エネ庁、電力小売改革に本腰/事業の方向性打ち出す」(1月26日付)は、電力産業全体の中で送配電や発電と比較して事業規模が小さい小売の在り方に関する記事。事業者ヒアリングなどを通じて、今後の発展性を探るとしていました。

エネ束ね法が成立した参院本会議(5月13日)

 第17位の「電力市場の今後は…需給運用を全国で最適化/エネ庁が方針」(2月15日付)は、変動性再生可能エネルギーの増加を踏まえ、不確実性に対応する市場最適化の方向性を探るエネ庁勉強会の議論を紹介しました。

 第20位の「エネ束ね法が成立/需給構造転換を加速、来年4月施行」(5月16日付)は、カーボンニュートラル実現などに向けた関係法改正が国会で成立したことを伝えました。

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