実際には上ることができない2号機格納容器(背景)からの眺めを、スマホ画面から臨場感持って見られるVR

 「新しい様式」の施設見学を――。

 関西電力高浜発電所は、VR(仮想現実)による設備見学映像を制作した。新型コロナウイルスによって一般住民を構内に案内することが難しくなっており、安全対策工事の意義や効果を実感できるよう、設備を360度を見渡せるつくりとなっている。VRの長所を生かし、平常時であっても案内が難しい高所の映像も公開。今後、地域コミュニケーションなどに活用する。

 高浜1、2号機では現在、40年超運転へ向けた安全対策工事が進められている。VR映像は、それに伴う変化を分かりやすく実感してもらうために制作した。端末をかざした方向に従って、上下左右360度どの角度からも施設を見られる。ユーチューブのVR機能を活用しており、一般的なスマートフォン、タブレットならメーカーや機種を問わず視聴できる。

 例えば、2号機で強固な岩盤内に付け替えた海水取水設備については、立坑、水平坑それぞれのVR映像を制作。作業員向けの注意書きも読み取れるなど、実際に地下を歩いているような臨場感を味わえる。

 格納容器上部に追加設置した遮蔽ドームについては、その屋上から撮影。端末を足元に傾ければ、鉄筋コンクリートによって強化されたことが実感でき、水平にすれば3、4号機や海が眼前に広がるなどVRならではの眺めを体験できる。

 この他、同発電所の安全対策工事の全容が分かる通常の動画も制作しており、VRと併せて今後の理解活動に活用する方針だ。

電気新聞2020年9月3日