経済産業省は19日、小出力の太陽光・風力発電設備の保安確保に向けた対策案をまとめた。新たに報告徴収や事故報告の対象に追加するほか、住宅用太陽光の立ち入り検査も行えるようにする。太陽光に特化した技術基準の検討にも着手する。2019年度中に制度見直しの内容を詰め、来年度に省令改正などの具体的な検討を始める。

 同日開かれた産業構造審議会(経産相の諮問機関)の新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ(WG、座長=勝呂幸男・横浜国立大学産学連携研究員)で、経産省がこれまでの議論をまとめた中間報告案を示した。

 対象となるのは50キロワット未満の太陽光発電設備と20キロワット未満の風力発電設備。これまで対象外だった報告徴収や事故報告などを新たに課す。設置者に詳細な分析を求めることが難しい点を考慮し、事故時の状況や写真などから簡易に事故を分類できる仕組みを整える。

 住宅用太陽光は設置規模が小さく、所有者の大半が一般住民であるため、事故報告の対象からは外す。民間が策定する指針やチェックリストと国の技術基準の関係を明確にするとともに、一定の水準を満たした技術者による施工・保守点検の徹底も促す。

 また、住宅用でも事故が発生する恐れがある場合や、実際に起きた後には立ち入り検査を行えるようにする。技術的な専門性を有する製品評価技術基盤機構(NITE)の知見も活用していく。

 太陽光設備については、設備数の増加や設置形態の多様化を踏まえ、独立した技術基準を設ける。水上設置型の設備の検討を19年度中に始め、その他も20年度には着手する。

 一方、出力20~500キロワットの風力設備については、14年度以降の導入実績は4件と少ないものの、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)認定件数をみると今後は増加が予想される。電気事業法に基づく電気主任技術者の選任や保安規程の届け出義務は課されていないが、一層の安全確保を図る狙いから、設備の使用開始前に国が事業者の保安の取り組みを確認する制度を導入する。

 中間報告案には、事故の再発防止の観点から、損害保険会社との連携の必要性も明記。今後、損保業界と具体化に向けた話し合いを進める考えだ。

電気新聞2019年11月20日