脱炭素の動きさらに加速

 
 ここまで紹介した需給逼迫、エネルギー価格高騰の背景として指摘されるのが世界的なカーボンニュートラルの動き。わが国では20年10月に菅義偉首相が「50年実質ゼロ」を宣言。21年はこの目標実現に沿った第6次エネルギー基本計画の議論が進められました。

 本紙では議論の推移を丁寧に紹介。第18位の「次期エネ基本計画、再エネの30年目標達成へ/エネ庁見通し、費用面の課題鮮明」(3月2日付1面)で、再エネの位置付けに関する議論に着手したことを伝えています。

洋上風力をはじめ再生可能エネルギーへの期待が膨らむが…

 その後、4月に政府は30年度の温室効果ガス削減目標を13年度比46%減に引き上げることを決定。「温室効果ガス、30年度『46%減』は困難/電中研予測、政府見通し反映も」(第9位、5月17日付1面)といった指摘はあったものの、政治主導で野心的な方向へ舵が切られました。
 

再エネに急進的主張も

 
 こうした中、再生可能エネ拡大の議論を強力に牽引したのが自民党の河野太郎氏。座長を務めた再エネタスクフォースは急進的な主張が目立ちました。本紙では「エネ庁、譲れない『S+3E』/河野氏TFと攻防、容量市場凍結も拒否」(第12位、6月9日付2面)といった記事を掲載しました。

 7月に示された計画の素案では、再生可能エネ導入目標が大幅に引き上げられました〈第8位「30年脱炭素電源6割/次期エネ基本計画素案、原子力は『持続的に活用』」(7月26日付1面)〉。その後、菅首相の退陣などがありましたが、同計画は「エネ基本計画、閣議決定/素案からの変更は小幅」(第17位、10月25日付1面)にあるように、大筋素案通り歩みを進めました。
 

実質ゼロの実像を追う

 

21年10月、アンモニア混焼の実証事業がスタートしたJERA碧南火力発電所

 カーボンニュートラルについて本紙は今年、「脱炭素の実像」と題する新たな1面シリーズ連載をスタートしました。その第1部として「アンモニアを確保せよ」を9回にわたり掲載。初回の「火力燃料、新たな挑戦」(8月16日付1面)が第14位に入りました。

 石炭関連からの投資引き上げの動きも注目を集めました。第19位には「大手商社、石炭火力の撤退時期表明/輸出計画動向は不透明」(5月31日付1面)がランクインしています。

 電源種別のコスト比較を行う上で注目されたのが「統合コスト」。電源を電力システムに受け入れるための費用です。本紙紙面には第11位に入った「30年の発電コスト、太陽光の低下傾向鮮明に/エネ庁が電源別試算を提示」(7月13日付1面)で初めて登場しました。

 21年は需給調整市場が開設され、まず3次調整力(2)の取引がスタート。第20位に「一般送配電9者など、需給調整力取引所を設立/効率的運用へ段階的に」(3月18日付1面)がランクインしました。

電気新聞2021年12月28日


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