関西電力は29日午後3時、美浜発電所3号機(PWR、82万6千キロワット)の調整運転を開始し、並列した。2011年5月の定期検査入り以降、約10年ぶりの送電再開となった。同3号機は新規制基準下で全国初の40年超運転プラントとして23日に原子炉を起動し、24日に臨界に達していた。再稼働プロセスに入って以降、工程は順調に推移しており、並列スケジュールも当初見込み通りとなった。平常の発電所運営サイクルが戻ることで、地元経済、脱炭素、安定供給など様々な面での貢献が期待される。
午後2時58分、美浜3号機中央制御室で当直員がタッチパネルの操作を開始。高畠勇人所長、松村孝夫副社長・原子力事業本部長、福井県の櫻本宏副知事らが見守る中、系統への接続が行われた。
関西電力送配電中央給電指令所(大阪市)では午後3時00分、大型パネルの「美浜3」欄に出力が表示され、関西広域の安定供給を支える電源として復帰したことを示した。4分で並列時のターゲットである約4万キロワット(定格出力の約5%)に到達し、その後も安定的に推移した。こうした模様は報道陣に公開された。
関電の森本孝社長は「当社の原子力発祥の地である美浜で新規制基準施行後、全国で初めて40年を超えて運転するという一歩を踏み出せたのは立地地域をはじめとした皆さまのおかげ」と謝意を伝えるコメントを発表。今後の本格運転へ向け「当社と協力会社社員一人一人が強い意志と覚悟のもと、安全最優先で慎重に作業を進めてまいります」とした。
関電は4月の福井県、美浜町の同意を経て再稼働プロセスに着手。5月20日に燃料装荷を開始して以降、当初スケジュールに遅滞することなく並列を実現した。美浜3号機の並列により、関電として新規制基準下で大飯発電所3、4号機、高浜発電所3、4号機に続く原子力による送電再開となった。今後の工程も順調に進めば7月3日に定格熱出力一定運転に移行。同月27日に総合負荷性能検査を経て本格運転を開始する。その後は、特定重大事故等対処施設(特重施設)の完成が10月25日の設置期限に間に合わないことから、同月23日に解列し、次回定検を開始する予定。
電気新聞2021年6月30日
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