スペースクールの宝珠山社長(右)、大ガスの担当者ら。右の筒は開発した放射冷却素材

 大阪ガスは4月26日、ベンチャーキャピタル(VC)のWiL(ウィル、東京都港区、伊佐山元CEO)と共同で運営するスペースクール(東京都港区、宝珠山卓志社長)を通じ、「放射冷却素材」を事業化すると発表した。直射日光をブロックして熱を宇宙に逃がしやすい素材で、外気温よりも温度を下げることができる。建物の外壁やテント、コンテナ倉庫などでの利用を想定。電気使用量の削減などが期待できる。中期経営計画で掲げた、社会全体の低炭素化・脱炭素化の促進につなげる。

 スペースクールはウィルが51%、大ガスが49%を出資して4月に設立。省エネルギー関連や環境改善のための製品販売、コンサルティング事業を行う。放射冷却素材についてはスペースクールが5月から営業や宣伝、生産を進め、夏頃から国内販売を開始する予定。国外販売も視野に入れる。ウィルが経営支援、大ガスが研究や用途開発支援を行う。

 フィルムタイプと帆布タイプの2種類を用意。大ガス独自の光学制御技術を用い、世界最高レベルの冷却性能を実現した。同製品を用いた実証実験では、直射日光が当たった状態で、放射冷却素材の表面温度が外気温より最大約6度低くなることを確認。分電盤などに使用すれば内部温度を下げ、故障リスク低減につながるという。

 販売価格は未定。スペースクールの宝珠山社長は「導入しやすい価格設定を予定している」と話す。

 今後は連携先のパートナー企業を募り、製品の用途などを拡大していく方針。

電気新聞2021年4月27日