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総合・原子力

[北海道地震]解説/北本連系線の復旧メカニズム

2018/09/10 2面 

◆直流、他励式ゆえ全停止/近傍火力復帰で運用再開
 ◇60万キロワットフル運用への供給力/伊達1稼働で条件整う
 なぜ容量60万キロワットの北本連系設備を使って、地震後すぐにでも本州から北海道に電気を送れなかったのか――。北海道エリアで全域停電が続いた中で、このような疑問を持った人もいたはずだ。本州と北海道の交流の電力系統を直流送電線で結んでいる北本連系設備は、送電線の両端にある変換所に、交流と直流の変換器を備えている。疑問を解く鍵は、この変換器の仕組みにある。
 ◇外部電圧が必要
 北本連系設備に導入されている変換器は「他励(たれい)式変換器」と呼び、外部から電圧をかけないと動作しない。6日午前3時8分の地震発生から17分後の午前3時25分に北本連系設備は停止したが、停電で北海道側の交流電圧が低下して、変換器が動作しなくなったことが理由とみられている。
 だが、地震から丸1日たった7日の午前5時半に北本連系設備は再起動し、東北電力が最大30万キロワットの電力を北海道エリアに送り始めた。「送電再開」のきっかけは、北海道電力の懸命な努力で、北海道側の変換所に近い知内発電所1号機(石油、35万キロワット)が7日午前3時45分に再稼働したことだった。これで北海道側の変換器に交流電圧をかけられるようになり、北本連系設備を使って北海道エリアに電力を緊急融通できる条件が整った。
 では、なぜ最初から60万キロワットのフル容量で電気を送らなかったのか――。こういった疑問がまた出てくるかもしれない。



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