1号機が営業運転を開始した福島天然ガス発電所。右奥はJAPEXの相馬LNG基地

 石油資源開発(JAPEX)や三井物産、大阪ガス、北海道電力など5社が共同出資する福島ガス発電(東京都千代田区、社長=石井美孝・JAPEX取締役・常務執行役員)は7日、福島県新地町で建設していた福島天然ガス発電所1号機(59万キロワット)が営業運転を開始したと発表した。5社は出資比率に応じて電力を引き取り、首都圏などで電力事業に活用していく。

 福島天然ガス発電所は2017年10月に建設工事が始まり、1号機は19年12月に試運転を開始。電気事業法で定められた使用前自主検査に全て合格し、20年4月30日に営業運転を始めた。2号機(59万キロワット)も既に試運転に入っており、8月の営業運転開始を目指す。1、2号機合わせた出力は118万キロワット。ガスタービン・コンバインドサイクル発電方式によって、発電効率を約61%まで高める。

 燃料のLNG(液化天然ガス)はJAPEXが運営する相馬LNG基地から送る。基地で進められていたLNG気化設備の増強工事は完了し、4月30日に操業を始めた。基地では23万キロリットルのLNGタンク2号機の建設が進んでおり、夏に稼働する計画だ。

 福島ガス発電の出資比率はJAPEX33%、三井物産29%、大阪ガス20%、三菱ガス化学と北海道電力が9%ずつとなっている。5社がそれぞれ燃料を運び込み、電力を引き取るトーリング方式を採用している。

 JAPEXは新電力や電力会社への卸販売が中心。卸電力取引所も活用し、一部は大口需要家に直接売る。北海道電力と大阪ガスは首都圏販売に活用する方針。三菱ガス化学は自社設備に供給する。

電気新聞2020年5月8日