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 経済産業省は、電気事業法やガス事業法など産業保安・製品安全法令に基づく手続きをウェブ上で行うことができる電子申請システムの運用を一部で開始した。電事法関連では電気工作物の保安規程の届け出など、計11の手続きが対象。現状、全て紙ベースで処理されている申請を電子化することで形式的な業務をなくし、官民双方の負担を軽減することで生まれる時間・労力を保安確保に振り向けることが狙いだ。

 今月6日に部分的な運用を始めた電子申請システム「保安ネット」は、電事法とガス事業法、液化石油ガス法、鉱山保安法、火薬類取締法に加え、製品安全に関連する法令が対象。電事法では事業用電気工作物の保安規程の届け出、保安管理業務の外部委託承認など11の手続きを電子化した。

 現状、各種法令に基づく届け出や申請は年間25万件に上り、その全てが紙で提出・処理されている。大部分が電事法関連で、中でも保安規程と外部委託承認で20万件程度と全体の8割を占める。産業保安監督部では、これらの処理に多くの時間を割いており、保安強化の観点から官民双方の業務効率化が急務になっていた。

 電事法の分野ではまず、申請件数が少なく、保安協会が保有するシステムとの連携が先行して整った四国、沖縄地域から運用を開始した。経産省では「来年度の早いタイミングで全国大に広げたい」としており、両地域での状況をみつつ、エリアや対象となる手続きの拡大を検討していく方針だ。

 電子申請化を巡っては、政府の規制改革推進会議が2017年に取り組みを加速させる方針を打ち出し、行政手続きコストの2割削減を目標に掲げた。経産省によると、今回対象となった手続きを仮に全てのエリアで徹底した場合、4割程度の作業時間が減ると見込んでいる。

 「保安ネット」を利用するには、専用のIDを取得することが必要。ウェブ上での提出が可能になるため、移動時間や郵送コストが削減されるほか、ガイド機能を設けることで形式的なチェックを省く。処理状況は画面上で逐次確認することが可能で、過去の履歴を利用して新たに申請できる機能も持たせた。

 経産省では、18年度からシステム開発に着手し、22年度までの5年間で関連予算を16億円計上した。20年度から段階的に運用を始める計画で準備を進めていた。

電気新聞2020年1月10日

経済産業省保安ネットポータル(経済産業省のサイトが開きます)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/hoan-net/index.html