取引開始の鐘を打ち鳴らす東商取の浜田社長(左)。右は日本商品先物振興協会の多々良實夫会長
取引開始の鐘を打ち鳴らす東商取の浜田社長(左)。右は日本商品先物振興協会の多々良實夫会長

 東京商品取引所は17日、電力先物市場を試験上場した。初日の取引は東日本のスポット価格変動リスクが意識され、ほぼ全ての約定が東日本の日中ロード商品(平日の12時間)となり、期近の9月物から12月物まで4商品が23枚(最低取引単位)約定した。東日本の2020年1月物のベースロード商品(全日24時間)も1枚約定し、計5商品の約定量は62万8800キロワット時、帳入値(終値)は1キロワット時当たり10円台半ば~13円台半ばになった。初日の結果について市場関係者からは「各社とも様子見で、静かな出だしだった」という声が上がった。

 東日本の日中ロード商品の17日帳入値は9月物が同13円51銭、10月物と11月物が同10円60銭、12月物が同12円20銭。期近の9月物が高めで引けた。前年同期の東日本エリアの日中ロード月間平均価格と比べても期近の9月物が高く、残り3商品が安い。東日本のベースロード商品の17日帳入値は20年1月物が同11円50銭。西日本の商品の約定はなかった。一方、立会外取引は活況で、20枚・148万8千キロワット時約定した。

 複数の市場関係者からは、東日本エリアの商品に売買が集中した理由として、スポット価格が原子力や太陽光の影響を受ける西日本に比べ、東日本の足元の需給や冬場の需給がタイトになり、スポット価格が高めに出る予測が働いたとの見方が出た。14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、原油先物価格が急騰したことの電力先物価格への影響は「ある」「ない」で見方が分かれた。

 中東の原油先物価格は、日本のLNG(液化天然ガス)の長期契約輸入価格とリンクする。日中ロード商品の値段もLNG価格動向の影響を受けるが、取引開始前の発電事業者などによる日中ロード商品の期先物の売り気配値は、買い気配値に比べて最大3~4円高く、最高で12円台半ば。「LNG価格の上昇を織り込んだ」というのが、影響が「ある」とした市場関係者の見方だ。一方、先週末のサウジアラビアの事象で電力先物の相場観が不透明になる中、「よく約定した」と胸をなでおろす東商取関係者もいた。

電気新聞2019年9月18日