東京電力ホールディングス(HD)など6社は15日、千キロワット超のフィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)を使った高層ビルを東京都千代田区内幸町の再開発エリアに建設すると発表した。再開発で建設するビルのうちPSCを設置するのは、2028年度の完成を予定する地上46階建ての「サウスタワー」。PSCでメガソーラー発電機能を実装した高層ビルは世界初となる。カーボンニュートラルとエネルギー地産地消の実現を目指す。

 積水化学工業が開発したPSCを採用する。東電HDはPSC実装の主要な検討推進者としての役割を担い、据え付けなどを行う主体となる。

 PSCを設置する場所は、ビル各階の床と天井の間に設ける防火区画「スパンドレル部」の外壁を利用する。外壁の外側にガラスを張り、その隙間にPSCを差し込む構造を検討している。

 従来型の太陽電池は耐荷重や風圧への対応のほか、高額な更新コストといった課題があり、高層ビルへの設置は不向きだった。PSCなら、こうした課題を伴わず高層ビルに設置することができ、都心部での太陽光発電の導入拡大につながる。

 内幸町再開発プロジェクトは22年3月に始動。東電HD本社などがある内幸町1丁目街区に、3つの高層ビルと帝国ホテル新本館を建設し、道路をまたいで日比谷公園と行き来できるようにする。

 プロジェクトに参画しているのは10社。サウスタワーの計画は東電HDのほか、東京電力パワーグリッド(PG)、東電不動産、第一生命保険、中央日本土地建物、東京センチュリーが参加している。

 サウスタワーは現在の東電HD本社などがある1.9ヘクタールの敷地に建てる。オフィス、商業施設、ホテルなどの入居を予定している。

電気新聞2023年11月16日