ゲーム開発と実証実験について発表した鬼頭氏(右)と山田氏

 ◆NFTで画像に価値

 東京電力パワーグリッド(PG)などは25日、送配電設備の画像を非代替性トークン(NFT)として価値化するゲームの開発に着手したと発表した。ゲームの参加者が与えられたミッションに応じて電柱や鉄塔を撮影し、その画像をNFTとして所有・売買する。東電PGは画像を分析することで異常を早期に発見し、設備の保守・保全を効率的に進める狙いだ。2024年初頭にも日本国内でリリースする。

 東電PGや中部電力が出資するグリーンウェイ・グリッド・グローバル(GGG、シンガポール、社長=芝和彦・東電PG取締役・常務執行役員)、NFTゲームのプラットフォーム事業を運営するデジタル・エンターテインメント・アセット(DEA、シンガポール、共同CEO=吉田直人氏、山田耕三氏)と共同で取り組む。GGGとDEAは今年3月、NFTゲーム開発に関する覚書(MOU)を締結した。

 開発するのは『ぼくとわたしの電柱合戦 電柱ガールと鉄塔ボーイ』(仮)。DEAのノウハウを生かして開発し、GGGがスマートフォンアプリのゲームとして提供する。詳細は検討中だが、「V(ボルト)」「A(アンペア)」「W(ワット)」の3つの陣営に分かれ、プレーヤーが獲得するNFTの数や各電柱のNFTでつないだ電線の長さを競うことなどを構想している。

 東電PGは、ゲーム参加者が撮影した画像を分析することで、保守・保全業務の一部軽減につながることを期待している。NFTを得られるエリアを工夫すれば地方創生にも活用できるという。まずは東電PGエリアの電柱600万本と鉄塔4万5千基をNFTの対象にする。将来的には、その他の送配電設備の追加や、他の送配電事業者エリアへの拡大も検討する。

 GGGとDEAは25日、都内で記者会見を開いた。GGGの鬼頭和希・イノベーションマネージャーは「顧客ではなく、東電のファンを増やす貴重な機会で、企業価値の向上につながる」と期待を寄せた。DEAの山田CEOは「電柱を自分のものにしたり、電線について考えることは普段しない。ゲームを通して関心と知識を高める効果がある」と意義を語った。

電気新聞2023年7月26日