家庭用蓄電池やEV、26年度市場参画に向け案示す

 
 経済産業省・資源エネルギー庁の「次世代の分散型電力システムに関する検討会」(座長=林泰弘・早稲田大学大学院教授)は8日、中間取りまとめ案を示した。家庭用蓄電池など低圧リソースの需給調整市場参画を2026年度に設定。調整力調達コストの低減に加え、一般家庭の蓄電池導入促進が期待される。また、系統混雑緩和に向けた配電分野での分散型エネルギー資源(DER)活用に向け、24年度までにフィールド実証を行う。

 検討会は昨年11月に発足し、これまでに6回の会合を開いた。家庭用蓄電池、電気自動車(EV)などのDERを需給調整に最大限活用できるよう、課題や今後の方向性を整理。DERの潜在価値を最大限引き出し、電力システムの効率化や強靱化につなげる狙いがある。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の各会合と連携しながら、制度改正につなげる。

 家庭用蓄電池などは現行ルール上、需給調整市場に参加できなかった。低圧リソースを束ねるアグリゲーターが、数万のリソースを1つのリソースとみなす「群管理」と呼ばれる概念を用いる。26年度を見据え、具体的ルールなどの詳細設計を進めるほか、電力広域的運営推進機関(広域機関)や一般送配電事業者がシステムを検討。低圧参加に必要な機器個別計測も26年度の開始を目指す。

 配電分野では系統混雑の解消策として、DERの柔軟性活用が有力な選択肢となることが共有された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるフィールド実証を24年度までに実施し、要素技術を開発・検証する。

 また、EVと電力システムの統合に向け、「EVグリッドワーキンググループ」を23年度に設置する。自動車メーカーや電力会社などがEV普及シミュレーションなどを共有。その段階に応じた課題の解決策を、業界の垣根を越えて議論する。

電気新聞2023年3月9日