即戦力の「スペシャリスト社員」採用

 
 中部電力は21日、2023年4月からキャリア採用の一環で「スペシャリスト社員」の採用を始めると発表した。職務内容を明確に定義して雇用・処遇する「ジョブ型」の人事制度を一部導入するもので、専門性や成果に応じて報酬額が大きく変わる。林欣吾社長は「地域やお客さまが求める新たな価値の提供を加速するためには、高度かつ専門的な知識や技能を持つ人財を獲得する必要がある」と狙いを説明した。

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 スペシャリスト社員は4月から中部電力と中部電力パワーグリッド、中部電力ミライズの3社で採用する。分野はまず、グローバル事業領域とデジタルトランスフォーメーション(DX)領域を想定している。職務内容や期待する成果を記載した職務記述書に基づいて職務グレードを設定し、評価や報酬額を決定していく。

 雇用形態は60歳定年の無期雇用で、賃金は月例給と賞与で構成。賞与の金額が個人の業績に応じて大きく変動する仕組みだ。職務内容や本人の成果次第では、20代で年収2千万円を超える水準もありうるという。

 中部電力は21年11月に策定した「経営ビジョン2.0」の中で、「人財戦略」の強化に取り組む方針を記載。22年4月には推進組織の人財戦略室を新設した。国内エネルギー事業にとどまらない領域拡大やビジネスモデルの変革を担う人材の育成・獲得を目指す。

 特に新たな収益拡大の柱と期待する海外事業、業務の高度化や顧客起点の新サービス開発を支えるDXには高度な専門性が欠かせないと判断。こうした知識・技能を持つ人材が異業種とも奪い合いとなる中、労働市場の報酬水準も考慮して人材獲得につなげる。

 林社長は21日の会見で「即戦力となる多くの方々にご応募頂き、当社グループでその能力を遺憾なく発揮して頂きたい」と期待を寄せた。

電気新聞2023年2月22日