東北電力上越火力1号機に導入

 
 東北電力は16日、今月1日に営業運転を開始した上越火力発電所1号機(LNG気化ガス、57万2千キロワット)の保守・点検を高度化する自動パトロールシステムを活用した設備点検の様子を公開した。衛星利用測位システム(GPS)のない環境下でも、自律稼働するロボットやドローンを採用。搭載したカメラでデータを取得し、自動解析することで設備異常を効率的に検知する。上越1号機での運用を通じて改良を図り、他火力への導入を進めるほか、将来的には他の設備産業への展開も見据える。

ドローンと陸上ロボットを併用することで効率的な巡視点検を実現する

 システムはドローンと陸上ロボットを組み合わせた構成で、画像解析と振動解析機能を搭載。それぞれ1台ずつ導入した。指定したルートを自動巡回することでデータを取得する。AI(人工知能)技術によって、あらかじめ取得していた正常のデータと差異がある箇所を異常部分として自動検知し、発電所の中央制御室に通知する。最終的には所員が確認することで、安全性を確保し、効率的な点検の実現を目指す。

 自動パトロールシステムの導入は東北電力として今回が初の取り組み。発電カンパニー火力部の佐々木超悟課長は「人の労力の効率化だけでなく、パトロールの結果をデータ化・分析することでより点検の高度化が可能」と話す。巡視の手法を多様化して安全運転への取り組みを進める。

 今後は自社の他の火力発電所への導入を進め、電源競争力強化につなげる。その後、GPSが届かないようなプラントを持つ他産業への外販も目指す。

電気新聞2022年12月19日