環境省は25日、小川エナジー合同会社(埼玉県寄居町、代表者=加藤隆洋氏)による「さいたま小川町メガソーラー」(3万9600キロワット)の環境影響評価準備書に、事業計画の抜本的な見直しを求める環境相意見を経済産業相に提出したと発表した。発電所工事以外の土砂が外部から運び込まれる理由に説明がなく、環境への懸念を指摘した。搬入予定の土砂は大量で、太陽光事業を隠れみのにした疑いが持たれている。

 大規模太陽光発電が環境影響評価法の対象となった2020年以来、厳しい環境相意見が提出されたのは初めて。外部からの土砂搬入に適切な説明をするか、土砂搬入を前提としない計画に見直さない場合、事業の中止を含めて「再検討を強く求める」とした。

 事業予定地は過去に残土処分場が計画されたが、住民の反対で頓挫した。当時の事業者「さくら太陽光センター合同会社」と、さいたま小川エナジー合同会社は本社所在地や代表社員が同じで、環境省担当者は「関連性が深い会社と認識している」。

 外部から搬入した土砂を盛り土にする計画で、その量は35万5千立方メートル。全盛り土量の約半量に及ぶ。昨年に静岡県熱海市で発生した豪雨による土砂災害事故の盛り土より約10倍多い。

 盛り土予定地は過去に斜面崩壊が確認されており、土地の安定性に関する事業者の調査が不十分とした。事業実施区域や周辺には希少猛きん類や豊かな里山があり、生態系からも懸念が生じている。トラックなどで搬送する際の騒音や振動も問題視される。

 環境相意見を踏まえ、2月上旬にも経産相が事業者に勧告を出す予定だ。同事業には昨年12月に埼玉県知事からも意見が出され、「土砂災害事故誘発の恐れを強く懸念する地域住民の多数の声がある」として計画見直しを要望していた。

電気新聞2022年1月26日