新型コロナウイルス感染拡大を機に広がったリモートワークについて、電気新聞は電力10社とJERA、Jパワー(電源開発)に対し、11月中旬までにアンケート調査を行った。感染者数が減少して落ち着いた後、6社はリモートワークの実施目標を変更。コロナ禍後の働き方について、リモートワークの定着を図ることを明確に示したのは8社に上り、出社とリモートワークのベストミックスを探る動きが出ている。

 感染者が多い期間と落ち着いた時期以降で実施目標を変えた中では、北海道は「基本、在宅勤務」から、「業務上支障のない範囲で最大限取り組む」とした。中部は、リモートワークの「最大限の活用」から「日常的な活用」に変更。JERAは7割だったテレワーク率の目標を、11月以降は5割に緩和した。

 一方、東北は本店・本社が35%、東京支社・東京事務所が70%としている出勤者削減率目標を現在も変更していない。東京と沖縄もリモートワークの実施要請レベルに大きな変化はない。中国は、「在宅勤務の目標値は設定しておらず、今後も設定する予定はない」と回答した。

 リモートワークの定着については、各社ともおおむね図っていく方向で、出社とリモートワークのバランスを取る環境整備に取り組む。北陸は「『ウィズコロナ・ポストコロナ』の時代に在宅勤務は不可欠」と指摘。沖縄も「今後も取り組みを後退させることなく、着実に進展していきたい」と意欲をみせた。

出社とリモートワークのベストミックスを探る動きが出ている(写真はJERAのサテライトオフィス)

 リモートワークの環境整備に関しては、リモートワーク用のパソコンやスマートフォンの配布、ウェブ会議システムの活用、在宅勤務制度の導入、業務プロセスの電子化などを挙げる社が多かった。サテライトオフィスについては、東北や東京、関西など6社が整備し、九州は増設した。

 東北と関西は、テレワークの活用に関するガイドラインを整備。中部は「脱押印」を推進し、東京は在宅勤務手当(リモートワークサポート料)などを導入した。

 一方、これまでのリモートワーク実施率や出勤者削減率は、各社で差が出ている。安定供給のために出社が必要な職場を除くリモートワーク実施率では、JERAは10月18~22日でも7割を超えている。関西は9月21日からの1カ月間で、単体では48.4%、関西電力送配電を合わせると45.5%だった。

 出勤者削減率では、Jパワーが直近の月平均で4~5割、東北は5~9月の本店・本社で17~25%程度、中国は4~9月で8.5~22%だった。

 リモートワークに対する社員の意識変化に関しては、「理解浸透が進んでいる」との回答が多かった。JERAの社員意識調査では、約8割の社員がコロナ禍後も出社とリモートワークの併用を希望するとの結果が出た。沖縄は、「移動時間の削減やオンライン会議の推奨などを通じ、全社的に働き方の意識改革が進んできた」と答えた。

 感染拡大の第6波に向けては、感染予防対策を徹底する方針が並んだ。北海道は「感染状況に応じた感染予防対策、事業継続に関する対策を着実かつ臨機応変に実施していく」と回答。四国は、「国・自治体からの感染拡大抑止への協力要請も十分に踏まえながら、感染リスク低減に向けて適切に対応していく」としている。

電気新聞2021年11月30日