東京・新橋のヤマダデンキLABI新橋

 ルームエアコンの2020年度国内出荷台数が、初めて1千万台を突破する見通しとなっている。実現すれば年度ベースで1千万台を超えるのは、統計を取り始めた1972年度以降で初めて。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増え、電気使用量が少なく高性能な新品への買い替えが進んだ。21年度の出荷台数は多少落ち着くが、新型コロナに伴う買い替え需要は継続するとして、メーカー各社は空気清浄機能などを備えた新製品を投入する。

 20年度のルームエアコンの出荷台数は好調に推移している。日本冷凍空調工業会(日冷工)の統計によると、前年同月比2桁増となっている月が多数を占める。

 4~5月の出荷台数は緊急事態宣言の影響で客足が鈍り減少となったものの、商戦のピークとなる6月は前年同月比11%増、7月は同19%増となった。8~9月は19年10月の消費増税による駆け込み需要で前年の出荷額が高かったため減少となったが、20年10月以降は現在までおおむね同9~18%増の高水準を維持している。

 日冷工の統計によれば、2月時点の累計出荷台数は約911万台。過去3年の3月の出荷台数はいずれも90万台超となっている。21年3月も「(前年同月比2桁増の)前月までと同様の傾向が続いている」(日冷工)ため、1千万台突破は確実な情勢だ。

 新型コロナの影響によるテレワークの拡大や巣ごもり需要で、自宅で快適に過ごしたいと思う人が増えたことが買い替えの促進につながった。梅雨明けからの猛暑と特別定額給付金の支給も買い替えを後押しした。

 日本電機工業会(JEMA)と日冷工によると、ルームエアコンの21年度出荷予想は約935万台。20年度を下回る見通しだが、JEMAは「消費者の健康清潔志向や高機能・高付加価値製品に対するニーズは継続する」と展望する。

 こうした展望やコロナ禍を踏まえ、メーカー各社が発売した21年モデルは、室内を清潔に保つ機能を強化している。

 三菱電機が発売した「霧ヶ峰」シリーズの21年モデルは、全機種にウイルスの活動を抑制する「清潔Vフィルター」を搭載。一部機種は、ウイルスや細菌などの働きを抑える空気清浄機能「ヘルスエアー機能」も備える。三菱重工業グループの三菱重工サーマルシステムズの21年モデルには、全機種にフィルターに吸着した花粉などのアレルギー物質を酵素と尿素で抑制する「バイオクリア運転」を搭載した。

 メーカー各社はIoT(モノのインターネット)機能も強化しており、引き続き買い替え需要を喚起していきたい考えだ。

電気新聞2021年4月19日