◆変電業界の動向/各社が変電所を更新、連系線の新設構想も
変電業界でも高経年化を踏まえた設備更新が増加しそうだ。電力広域的運営推進機関(広域機関)が昨年6月にまとめた2025年度末までに使用を開始する主要変電所の整備計画によると、変圧器の増加容量は1544万kVA、交直変換所の増加容量は120万kVAを見通している。
主な動きでは、変圧器の高経年化などを踏まえ、中部電力が50万V駿遠変電所の100万kVA変圧器1台を廃止し、代替として19年10月の使用開始を目指す50万V静岡変電所(100万kVA)の新設が計上された。関西電力は50万V嶺南変電所の100万kVA変圧器1台を廃止し、50万V金剛変電所(100万kVA×2)の使用を開始する。
東北電力は需要対策の一環として、27万5千V名取変電所(45万kVA×2)の新設を決め、19年6月の運転開始を目指す。また、27万5千V本名変電所は、高経年化対策として18年8月までに設備更新を段階的に進める。
高経年化対策では、中部電力が27万5千V知多火力変電所の変圧器を更新する。中国電力は22万V新徳山、笠岡の両変電所で新たに変圧器を取り換える。北海道電力、四国電力でも18万7千V変電所の設備更新を新たに計上した。
再生可能エネルギー関連では、北海道電力が18万7千V南早来変電所(20万kVA)の工期を1年1カ月早め、運転開始は18年9月とした。中国電力は22万V作木変電所について、事業用太陽光の連系を踏まえて、20万kVAの変圧器を増設する。
北海道、東京、中部では連系線関連で変電などの整備を進める。連系設備関連をみると、北海道電力は北海道・本州間(北本)連系設備の30万キロワット増強計画を推進中で、19年3月に運用開始。容量は最大90万キロワットとなる。飛騨信濃直流幹線は東京・中部間の連系容量を増強するもので、90万キロワットの増強を図る。東京電力パワーグリッド(PG)、中部電力双方で設備の新設・増強を行う。20年度使用開始の予定。
また、東京・中部間の連系設備である東電PGの新信濃、Jパワー(電源開発)の佐久間、中部電力の東清水の3周波数変換設備について、増強する計画が進められている。現在の周波数変換設備容量は3地点で計120万キロワットだが、将来的に300万キロワットへ増強する。
このほか、東北・東京間連系設備増強については、広域系統整備計画を検討する中で、既存の幹線とは別に新たな送電ルートの連系線を新設する案が浮上している。広域連系設備を増強することで、全体の電力供給をより安定的なものにしていく。
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