第67回「電気のある生活」写真賞 入賞作品が決定

 第67回「電気のある生活」写真賞(富士フイルムイメージングシステムズ後援、全日本写真材料商組合連合会協賛)の入賞作品が決定しました。

最優秀賞「ありがとう」

「ありがとう」宇井 丈裕(愛知県)

 全国784人から寄せられた2250点の中から、最優秀賞には宇井丈裕氏(愛知県・50歳)の「ありがとう」が選ばれました。また特選には、多和裕二氏(東京都・72歳)の「安全と安心の守りびと」、準特選には斉藤延子氏(香川県・67歳)の『太陽の恵みを受けて』と、鈴木健之氏(東京都・62歳)の「『東京アラート』発動」が、それぞれ選ばれました。このほか入選20点・奨励賞20点が選ばれ、各賞には電気新聞賞と富士フイルム賞がそれぞれ贈られます。
 応募者を年代別に見ると70歳代が34.7%と最多。次いで60歳代が20.9%と、退職後の趣味に写真を楽しんでいる世代が全体の半数以上を占めました。男女比は男性84%、女性16%でした。
 選考は2021年1月19日に行われ、木村惠一(日本写真家協会名誉会員)、榎並悦子(写真家)、早田敦(電気事業連合会専務理事)の3氏が審査を行いました。

>>入賞作品一覧はこちらからご覧いただけます。


【最優秀賞】宇井丈裕さんの喜びの声

 応募二回目でこのような歴史を数える写真賞に選んで頂いたことは、身に余る思いであります。
 一昨年にたまたま「電気のある生活」の写真コンテストがあることを知り、出会えた“ご縁”に感謝しています。
 一昨年は十分な準備が出来ないままの応募でしたが、昨年はいろいろなシーンを思い描き、撮影を行ってきました。
 今回選んで頂いた写真は、切り絵を光で映し出す展示物を家族で見に行った時に、この切り絵を見て、子供に「普段、お母さんに感謝の気持ちを伝えられていないから、“いつもありがとう”って言っておいで」と促した際に撮影したものです。
 コロナ禍で家族と過ごす時間が増え、家族の絆の大切さを再認識しました。この思いを伝えられたらいいなと思い、応募させて頂きました。
 まだまだ撮影技術は未熟ですので、さらに精進し、人々にひとときの安らぎを与えられる写真を撮り続けたいと思います。この度は、誠にありがとうございました。


【講評】細部に光る深慮/木村 恵一氏(日本写真協会名誉会員)

 「電気のある生活」写真賞は今回で67回目を迎えた。テーマが決められた写真コンテストの中でも、これほど続いているものはない。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、応募者が少なくなるのではと心配していたが、ふたを開けてみれば昨年から約1割増の2000点を超える応募があって驚いた。作品をどんな気持ちで撮影したかなど、コメントをしっかりと書かれた応募者も多かった、
 最優秀賞「ありがとう」は、子どもがお母さんい感謝の気持ちを伝えるために、何かを渡している。その姿をうまくシルエットにして撮影したところに、「ありがとう」という感謝の気持ちがよく出ていると思う。現在は簡単に手をつないではいけない状況の中で、マスクをしながら真ん中にある花にお互いの手を近づける瞬間を撮影するなど、細かいところまで気を遣っている。
 特選「安全と安心の守りびと」は自宅ベランダから撮影した作品で、暗い中の作業を細かいところまで気をつけながら撮影した。夜中に工事をする人たちの姿をなかなか目にする機会はないが、毎日乗る電車の裏側には、こうした方々の保守・点検があるからこそ、安全に電車に乗れるということが伝わってくる。
 準特選「『東京アラート』発動」も最優秀賞と同じく、コロナ禍の時代だからこそ撮影できた作品。お台場海浜公園から見た橋、遠くにある東京タワーがそれぞれ赤くライトアップされており、自由の女神を入れた構図によって象徴的に時代を捉えていると思う。
 準特選「太陽の恵みを受けて」は、太陽光発電が珍しくなくなった時代の中で、郊外の畑にソーラーパネルが敷き詰められている光景を電車を入れながらうまく捉えている。アイデアを含め、これからの社会を見せつけられたような良い写真だと思う。
 電気と聞くと明かりと捉えてしまうが、暮らしの中には電気の可能性を写真でうまく表現できる要素がまだたくさんあると思う。コロナ禍で生活様式も変わる中、少し発想を変えれば良い写真が撮れるはずなので、新しいアイデアを持ち込んでどんどん挑戦して欲しい。次回もユニークな応募作品を楽しみにしている。

入賞作品展について

 各地での入賞作品の展示会を予定しております。詳細が決まりしだい、このページでお知らせします。