第66回「電気のある生活」写真賞 入賞作品が決定

 第66回「電気のある生活」写真賞(富士フイルムイメージングシステムズ後援、全日本写真材料商組合連合会協賛)の入賞作品が決定しました。

最優秀賞「朝陽を受けて」
 

「朝陽を受けて」遠藤 要信(東京都)

 全国692人から寄せられた1924点の中から、最優秀賞には遠藤要信氏(東京都・77歳)の「朝陽を受けて」が選ばれました。また特選には大石正臣氏(広島県・72歳)の「鎮神社祭」、準特選にはトリチョーブ・セッタポン氏(神奈川県・44歳)の「人を幸せにする千枚田」と、大島市郎氏(福島県・69歳)の「送電線工事」が、それぞれ選ばれました。このほか入選20点・奨励賞20点が選ばれ、各賞には電気新聞賞と富士フイルム賞がそれぞれ贈られます。
 応募者を年代別に見ると70歳代が38.6%と最多。次いで60歳代が23.7%と、退職後の趣味に写真を楽しんでいる世代が全体の半数以上を占めました。男女比は男性84.5%、女性15.3%でした。
 選考は2020年1月下旬に行われ、木村惠一(日本写真家協会名誉会員)、榎並悦子(写真家)、清水成信(電気事業連合会専務理事)の3氏が審査を行いました。

>>入賞作品一覧はこちらからご覧いただけます。


【最優秀賞】遠藤要信さんの喜びの声

 三十代で写真を始め40年あまり、写真を撮ることが楽しく、コツコツと勉強してきました。
 当時コンテスト等は別の世界の出来事と思っていました。
 今回、このような長い歴史を持ち由緒のあるコンテストの審査員の方々のお目に止めて頂き、大変栄誉のある賞を頂くことが出来ました事に感謝の気持で一杯です。
 受賞のご連絡を頂いた直後、嬉しさと驚きでしばし呆然!
 「お父さん、大丈夫?はい、深呼吸しましょう(笑)」
 妻の声に苦笑い・・・。それほどの感動に包まれました。
  今回の応募にあたりテーマがありました。
 それは日常生活に欠かす事の出来ない、「電気」という存在をドラマティックに美しく表現したいという思いでした。
 2月早朝、寒く暗い中、陸橋に向かいました。
 東の空が淡いピンク色に染まり始め、徐々に色を変化させながらやがて濃いオレンジ色に・・・
 それをバックに新幹線とスカイツリーが並んだ時、チャンスです。
 これからも心に残る写真を撮りたく日々精進致します。ありがとうございました。


【講評】木村 恵一氏(日本写真協会名誉会員)

 「電気のある生活」写真賞は今回で66回目を迎えたが、写真コンテストの中でも、これほど続いているものはほとんどない。応募者・応募点数も約700人・2000点と多く、うれしく感じるとともに、とても頼もしく思う。今回は全体的に独創的な見方で撮影した作品がやや少なかった印象はあるが、やはり優れた表現をした作品が上位に選ばれた。
 鉄道は大人気で、鉄道写真を撮影する人も多い。そうした中で、最優秀賞「朝陽を受けて」は技術的にも優れているし、誰でもどこでも撮れる写真ではないと感じた。最初は夕方かと思って作品を見たが、実は日の出前の朝焼けの光で撮影している。撮影者は最初から朝焼けの新幹線の風景を最初から自分で思い描き、アングルもしっかりと考えて撮影したのだろう。
 特選「鎮神社祭」は、長野県塩尻市の奈良井宿で撮影した作品。昭和生まれ育ちの人間からすると、特別珍しい光景ではないが、今ではあまり見られなくなったお祭りの一コマ。祭り提灯の明かりを入れて、子どもたちが駆け抜けていく姿を、あえてシャッタースピードを遅くして撮影するというという表現が良かった。文化や伝統を残していくためには写真という手段は必要なものであり、それを電気と結びつけて良いチャンスをとらえたと評価している。
 準特選「人を幸せにする千枚田」は、LED照明を使って棚田という農耕文化を伝えようとしているというところが良かった。また、準特選「送電線工事」は、晴れた冬空という気候条件だが、写真にある高所作業は気温が低く、風も強くて危険な作業だと思う。ただ、雪山を背景にしたことで、明るい雰囲気を感じさせる作品という点が良かった。
 スマートフォンが生活に不可欠になっている中で、スマートフォンのカメラの性能は格段に進化している。そういう意味では、写真はもはや一眼レフだけの世界ではなく、重いカメラを持ち歩かなくても、いつでもどこでも撮影できる時代になった。それだけに電気をヒントとして、日常の暮らしの中での出会いを大切にしていけば、もっと撮影するチャンスはあると思う。次回も工夫を凝らした応募作品を楽しみにしている。

入賞作品展について

 各地での入賞作品の展示会を予定しております。詳細が決まりしだい、このページでお知らせします。