産業集積化が進む福島県浜通り。国の先進的プロジェクトに加え、東電HDが廃炉産業を集積化させる方針を打ち出した(写真は2020年3月末に開所した福島ロボットテストフィールド)

 東京電力ホールディングス(HD)は廃炉産業の集積に向け、福島県浜通りでの新規産業を創出するための取り組みを展開する。廃炉の中核技術や製品を将来的には全て浜通りで開発・製造し、地元経済の中長期的な柱にする構えだ。27日夕の「復興と廃炉の両立に向けた福島の皆さまへのお約束」実現に向けた取り組み状況に関する会見で方針を示した。乾式キャスクなど廃炉関連製品を製造するための工場建設を手始めに、地域の雇用創出や経済基盤構築につなげる。

 これまでは廃炉の中核技術・製品を東京や海外企業に発注していたが、浜通りで開発・製造できるよう新たな施設や事業体を設立する。2020年代に「開発/設計」「製造」「運用」「保管」「保管リサイクル」の5つの工程に関する廃炉関連施設の設置を見込む。施設の建設・運用に当たっては、高度な技術を有する県外企業を公募し、共同事業体を設立。その上で地元企業と雇用や協業、発注などあらゆる面で共に取り組む。

 第1弾として福島第一、福島第二原子力発電所で必要となる廃炉関連製品製造工場を、発電所構内もしくは近隣に建設する。工場の建設時期や生産規模などの詳細はパートナー企業が決まり次第、検討に着手する。パートナー企業の公募は夏までには始めたい考えだ。

電気新聞2021年5月31日