新型コロナウイルスの脅威に振り回された2020年。4月には大手電力の送配電部門が法的分離され、戦後から垂直一貫型が続いてきた電気事業は、大変革期の中で一つの節目を迎えた。6月に成立したエネルギー供給強靱化法には、電力設備のレジリエンス(強靱性)強化や新たな託送料金制度、配電事業・アグリゲーター事業のライセンス制度が盛り込まれた。そして、大きなうねりとなったのが10月の菅義偉首相による「2050年カーボンニュートラル宣言」。脱炭素社会の実現に向けて国が大きく動き始めた。今後の電力供給には再生可能エネルギーと原子力が重要となる中、20年は原子燃料サイクルを含む原子力事業も一歩ずつ前に進んだ。

 

米フリーポートから第1船

 JERAと大阪ガスが出資し、2019年12月に商業運転を始めた米国のフリーポートLNG(液化天然ガス)プロジェクトの第1船が1月23日、JERAの川越火力発電所に到着した。フリーポートプロジェクトは、日本の電力・ガス会社が米国でガス調達から液化、輸送に至る全バリューチェーンに関わる初の試み(三重県川越町)
 

日本からフランスへ

 量子科学技術研究開発機構と三菱重工業は1月30日、フランスで建設中の核融合実験炉「ITER」向けに製造していたトロイダル磁場コイル(TFコイル)初号機=写真=の完成披露式を三菱重工神戸造船所二見工場(兵庫県明石市)で開催した。7月には仏でITERの組み立てが始まり、2025年のファーストプラズマ点火に向け、建設工事が節目を迎えた
 

電事連会長に池辺氏

 電気事業連合会の会長に、九州電力の池辺和弘社長が3月14日付で就任した。東京、関西、中部以外の電力会社から会長に就くのは初めて。同13日には勝野哲前会長とともに会見した。写真は会見後に握手する池辺会長(右)と勝野前会長(東京・大手町)
 

カウントダウン延期

 新型コロナウイルスの感染が世界的に広がった。国内では感染拡大を受け、夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックが1年延期されることとなった。延期の決定から一夜明けた3月25日、開会式までの日時を刻んできた東京・丸の内の東京駅広場のカウントダウンクロックは日本時間とみられる表示に変わっていた
 

送配電会社が発足

 電力システム改革の第3弾となる送配電部門の法的分離が4月1日、完了した。他に先駆けて分社化した東京電力に加え、電力8社とJパワー(電源開発)の送配電会社が事業を開始した。写真は中部電力本店に設置された新たな看板(4月1日、名古屋市)
 

緊急事態宣言発令

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4月、緊急事態宣言を発令した。大手電力では発令前から重要拠点である中央給電指令所や発電所などで感染拡大防止対策を徹底していたが、会社全体で対策を強化。社員の意識を一層高め、電力安定供給の継続に万全を期した。写真は緊急事態宣言発令後、関西電力本店ビルで来訪者を検温する警備員(4月8日、大阪・中之島)
 

史上初のマイナス価格

 米国時間4月20日のニューヨーク原油先物市場で、米国産標準油種(WTI)が史上初めてマイナス価格で取引を終えた。新型コロナウイルスの影響による需要減で米国の原油貯蔵能力が限界に近づいたことが背景。現物の取引を嫌気し売りが強まった。写真はWTIのマイナス価格を表示する電光掲示ボード(4月21日、東京都中央区)
 

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