政府は2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、脱炭素グリーン基金を創設する。脱炭素技術の開発を加速し、社会実装を後押しする。温室効果ガス排出削減目標の引き上げに伴い、技術開発の加速は不可欠となっている。新型コロナウイルスに伴う経済対策の観点からも、脱炭素イノベーションを推進する考えだ。

 政府・与党が環境分野の経済対策に関する重点事項案をまとめた。基金は経済産業省や環境省など、関係府省が連携して創設する。需要側の脱炭素につながる技術を支援する方針だ。再生可能エネルギーや省エネルギー、水素などが支援対象の候補と見られる。

 菅義偉首相は10月の所信表明で、グリーン社会の実現には次世代型太陽電池やカーボンリサイクルなど、革新的イノベーションが鍵を握ると説明していた。

 菅首相の50年ゼロ宣言を受け、政府は11月の有識者会合で、グリーンイノベーション戦略を再構築する議論に着手した。従来目標の引き上げに伴い、重点技術を特定して開発を加速する方針。各技術の実用化時期やコスト目標などの深掘りも行う。技術開発の推進には資金の確保が課題となりそうだ。

 第3次補正予算を見据えた経済対策には基金創設のほか、脱炭素型の生活様式に転換する施策も盛り込んだ。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の導入を短期・集中的に支援する。移動の脱炭素化を図るとともに、動く蓄電池として災害時の非常用電源としても有用と位置付ける。

 断熱リフォームやZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及も進める。高機能換気設備の導入も支援し、脱炭素化と新型コロナウイルス対策の両立を目指す。

電気新聞2020年11月27日