東芝が福島第一に導入した多核種除去設備
東芝が福島第一に導入した多核種除去設備

 東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策で導入された東芝エネルギーシステムズの多核種除去設備が、24日夜に処理量100万トンを達成した。同設備は建屋内汚染水からセシウムを除去し、淡水を分離した後の高濃度濃縮汚染水(RO濃縮水)を処理するもの。トリチウムを除く62核種を除去できる。福島第一では2013年3月に初号機、14年9月に増設機が運転を開始。初号機の稼働から7年弱で処理量100万トンに到達した。

 東芝エネルギーシステムズの柳瀬悟郎取締役・パワーシステム事業部副事業部長・最高原子力責任者(CNO)はコメントを発表。処理量100万トンへの到達は「我々の技術が継続して福島第一原子力発電所の汚染水処理に貢献しているということ」と強調した。

 原子炉冷却と地下水の流入で発生する建屋内汚染水は、東芝が納入した第二セシウム吸着装置「サリー」でセシウムを除去、淡水化装置で原子炉冷却用の淡水を分離される。この後に残るRO濃縮水を処理するのが多核種除去設備。トリチウム以外の62核種を除去できる大型システムは世界でも例がない。

 設備は米エナジー・ソリューションズ(現アトキンス)の概念設計を基に東芝が詳細設計と製作、据え付けを担当した。初号機、増設機とも1日当たりの処理能力は最大750トン。東芝は納入後も継続的な運転支援とともに、設備改善対策やリプレース工事を行って高い稼働率の維持に貢献した。

電気新聞2020年1月28日