地震による影響で停電した札幌市内(6日未明)
2018年9月6日3時7分。北海道厚真町で震度7を観測した「平成30年北海道胆振東部地震」が発生。震源近くの苫東厚真発電所が停止し、送電線故障に伴う水力発電所の停止も重なって、3時25分、道内全域、約295万戸が停電した。国内初のエリア全域停電、いわゆるブラックアウトだ。
北海道電力はブラックスタート機能のある水力を立ち上げ、徐々に供給エリアを拡大。他電力からの応援も得ながら、2日間で99%まで復電。10月4日には地震に伴う停電はすべて解消した。今は、冬の需要期を前に、被害を受けた苫東厚真発電所の整備や、停止中の発電所の立ち上げを急ぐ。
地震から1カ月。供給力確保、設備復旧、応急送電などに取り組んだ姿を写真で追った。
9月6日 地震の後、明かりが消えた
地震による影響で停電した札幌市内(6日未明)。ビルの非常灯が消えている
復旧へ向け、水力を起動
6日午前9時半ごろまでには既に5カ所の水力発電所が起動していた。徐々に火力を立ち上げ、バランスを取りながら給電エリアを拡大していった。(写真は北海道電力の説明用ホワイトボード)
9月7日 苫小牧では配電設備の復旧作業が始まっていた
地震翌日、厚真町内では北海道電力のグループ会社、北海電気工事が配電設備の復旧作業を進めていた
いち早く駆けつけた東北電力送配電カンパニー秋田支社の応援部隊。厚真町内で応急送電に向けた作業を行っていた
全国から応援部隊が北海道に集結
電力需給の逼迫が続く中、全国各地の電力会社は、6日から高圧発電機車を順次北海道に派遣。台風21号による被害の大きかった関西電力を除く、電力8社が応援に駆けつけた。沖縄電力は7日に出発、11日に苫小牧港に到着した。
(写真左上から時計回りに)海路で北海道に入った北陸電力の災害復旧応援車(苫小牧市)。苫小牧エリアに配備された中国電力の移動発電機車。苫小牧エリアで活躍する中部電力の発電機車。小樽変電所で現地確認を行う沖縄電力の応援部隊
9月8日 震源近くでは多大な被害が発生していた
厚真町では土砂崩れで家屋が倒壊するなど、地震による大きな被害があちこちに見られた
地震による土砂崩れで倒れた電柱(厚真町)。震源近くでは送配電設備も被害を受けた
8日の会見で明らかにされた苫東厚真4号機タービンの出火直後の状況(北海道電力提供)
9月10日 節電要請で消えたネオン
需給の逼迫から国や北海道、北海道電力は10日から2割の節電を呼びかけた。札幌市の繁華街・すすきのではニッカウヰスキーの大看板のネオンも、節電のため消灯した
9月12日 倒壊鉄塔の復旧も進む
送電設備にも深刻な被害が発生した。岩知志線(6万6000V)では地滑りによって鉄塔が2基倒壊。写真は12日、倒壊した岩知志線の鉄塔から仮鉄柱へ移線する作業員(むかわ町)
9月19日 苫東厚真1号機が復旧し、節電要請は解除に
震災に伴う節電要請が解除された19日、ニッカウヰスキーの看板も再点灯した(札幌市)
9月20日 苫東厚真発電所を公開
北海道電力は20日、被災した苫東厚真発電所を報道陣に公開した。4号機では、出火の影響で高圧タービンなどを内部に備える緑色の外部ケーシングの一部が変色していた。4号機は9月25日に復旧した
苫東厚真発電所の建屋近く未舗装の駐車場では所々で液状化の痕跡がみられた
19日に運転を再開した苫東厚真1号機のボイラー。ボイラー内をのぞく窓(中央)から炎の赤い色が見える
完全復旧へ全力
通行規制が19日解除されたばかりの道道10号千歳鵡川線安平町~厚真町区間では、北海道電力の社員が配電設備の状況確認を急いでいた
土砂崩れによる配電設備の被害を8日に確認した現場を再び訪れると、倒壊した電柱の隣に新たな電柱が立ち、電線が引かれていた(厚真町)