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 4日正午ごろ徳島県南部に上陸した台風21号。非常に強い勢力のまま上陸したのは25年ぶりで、近畿地方や中部地方を中心に日本各地で猛威を振るった。
 強風などによる設備被害で停電が相次ぎ、電力各社は電気工事会社とともに、停電解消に向けた復旧作業を急いだ。特に関西電力エリアでは、延べ218万3千戸が停電。自然災害による延べ停電戸数では、阪神・淡路大震災時の約260万戸に次ぐ規模で、台風被害に限れば平成以降で最大となった。
 関電は4日の台風襲来以降、他電力の応援を受けるとともに、協力会社を含め、最大約8千人態勢で復旧に臨んだ。その姿を写真で追った。

 

風台風の猛威、凄まじく

「風台風」として猛威を振るった台風21号。開港以来最大の最大瞬間風速58.1メートルを記録した関西国際空港では、タンカーが連絡橋に衝突するなどの被害を受けたが、空港が立地する市町村の一つの泉南市では9本の電柱が連なって折損していた。
「風台風」として猛威を振るった台風21号。開港以来最大の最大瞬間風速58.1メートルを記録した関西国際空港では、タンカーが連絡橋に衝突するなどの被害を受けたが、空港が立地する市町村の一つの泉南市では9本の電柱が連なって折損していた。

 

停電解消へ、決意を胸に

6日午前、大阪府南部の泉南市には関西電力ときんでんの復旧部隊の姿があった。複数の電柱が連なって倒れた現場に、約15人が到着。綿密な打ち合わせの後、作業に臨んでいた。
6日午前、大阪府南部の泉南市には関西電力ときんでんの復旧部隊の姿があった。複数の電柱が連なって倒れた現場に、約15人が到着。綿密な打ち合わせの後、作業に臨んでいた。

 

まずは倒れた電柱を撤去

同じく空港が立地する市町村の一つ、田尻町では6日午前、約100メートルにわたり3本の電柱が倒れた道路で、電柱を撤去する作業が行なわれていた。倒壊現場の近くで農業を営む男性は「(電柱の倒壊は)むごいね。田尻で生まれ育ったが、こんなすごい台風は初めて。風呂に入れないのがつらい。一日も早く復旧してほしい」と、作業を見守りながら話していた。
同じく空港が立地する市町村の一つ、田尻町では6日午前、約100メートルにわたり3本の電柱が倒れた道路で、電柱を撤去する作業が行なわれていた。倒壊現場の近くで農業を営む男性は「(電柱の倒壊は)むごいね。田尻で生まれ育ったが、こんなすごい台風は初めて。風呂に入れないのがつらい。一日も早く復旧してほしい」と、作業を見守りながら話していた。

 

新たな電柱で電気を送る

倒壊した電柱を撤去すると、新たな電柱の建柱が始まる=写真。復旧指示に当たっていた関電岸和田ネットワーク技術センター託送サービス係の木下学さんは、「地域住民の皆さんの不便になっているから、早く解消したい。元の生活を早く取り戻せるようにしたい」と力を込めた。
倒壊した電柱を撤去すると、新たな電柱の建柱が始まる=写真。復旧指示に当たっていた関電岸和田ネットワーク技術センター託送サービス係の木下学さんは、「地域住民の皆さんの不便になっているから、早く解消したい。元の生活を早く取り戻せるようにしたい」と力を込めた。

 

電気を待つ人のため、徹夜で復旧に挑む

住民らの声にこたえようと、復旧作業は速やかに、かつ夜を徹して行なわれた。写真は5日午前1時ごろ、大阪府豊中市で行われていた復旧作業。停電戸数は4日午後9時時点で約168万4300戸だったが、夜を徹した作業の結果、5日午前9時時点では約57万5100戸まで減少した。
住民らの声にこたえようと、復旧作業は速やかに、かつ夜を徹して行なわれた。写真は5日午前1時ごろ、大阪府豊中市で行われていた復旧作業。停電戸数は4日午後9時時点で約168万4300戸だったが、夜を徹した作業の結果、5日午前9時時点では約57万5100戸まで減少した。

 

膨大な被害の中、一つ一つ停電原因を解消する

電柱の倒壊など、誰の目にも明らかな被害でなくとも、復旧しなければならない設備被害は実に多い。6日夕の大阪市西淀川区では、関西電力が損傷した避雷器の交換作業を行なった。おそらく飛来物などにより損壊したのではないか(現場作業員)という避雷器は、がいし部分が折れていた。
電柱の倒壊など、誰の目にも明らかな被害でなくとも、復旧しなければならない設備被害は実に多い。6日夕の大阪市西淀川区では、関西電力が損傷した避雷器の交換作業を行なった。おそらく飛来物などにより損壊したのではないか(現場作業員)という避雷器は、がいし部分が折れていた。

 

作業が終わるのを待ち、通電再開の作業へ

上記の避雷器の交換が行われた電柱の下には配電塔(小容量、簡易な変電設備)があった。交換作業が終わると速やかに別の作業部隊が到着。通電再開に向けて設備の確認作業が行なわれた。無駄のない連係に息を呑んだ。
上記の避雷器の交換が行われた電柱の下には配電塔(小容量、簡易な変電設備)があった。交換作業が終わると速やかに別の作業部隊が到着。通電再開に向けて設備の確認作業が行なわれた。無駄のない連係に息を呑んだ。

 

広島からも応援に。九州や四国からも

関西電力エリアでの大規模停電を受けて、中国電力、九州電力、四国電力の3社は5日、高圧発電機車40台や復旧応援要員約250人などを関西電力に派遣した。写真は5日午前、復旧応援に向かう中国電力広島北営業所の発電機車。
関西電力エリアでの大規模停電を受けて、中国電力、九州電力、四国電力の3社は5日、高圧発電機車40台や復旧応援要員約250人などを関西電力に派遣した。写真は5日午前、復旧応援に向かう中国電力広島北営業所の発電機車。

 

応援の高圧発電機車で病院に電力供給を再開

大阪府泉南市の大阪晴愛病院付近では6日午前4時20分ごろから、応援に駆け付けた中国電力の高圧発電機車による電力供給が始まった。高圧発電機車は6人の中国電力社員とともに、岡山県津山市の中国電力津山営業所から派遣されてきた。同営業所配電保修課の曽根敏弘主任は、「西日本豪雨の際には各電力にお世話になったから、(関西地域の皆さんにも)恩返ししたい」と話した。
大阪府泉南市の大阪晴愛病院付近では6日午前4時20分ごろから、応援に駆け付けた中国電力の高圧発電機車による電力供給が始まった。高圧発電機車は6人の中国電力社員とともに、岡山県津山市の中国電力津山営業所から派遣されてきた。同営業所配電保修課の曽根敏弘主任は、「西日本豪雨の際には各電力にお世話になったから、(関西地域の皆さんにも)恩返ししたい」と話した。