中部電力と中部電力パワーグリッド(PG)は22日、再生可能エネルギーの出力制御を抑制するための研究をNTTデータと共同で同日開始したと発表した。電気自動車(EV)やヒートポンプ、蓄電池などの分散型エネルギーリソース(DER)を「上げデマンドレスポンス(DR)」に活用。夕方から翌朝の電力需要を、太陽光の発電量が増える昼間に移す。2027年度までに実運用を始めたい考え。

 共同研究では、出力制御が必要になった際、電力の消費時間を昼間にシフトするようDERの所有者に依頼。DERの消費電力と再エネの余剰電力をマッチングできれば、出力制御の量を抑えられる。

 上げDRに協力したDER所有者は収益を得られる。夜間の火力発電の稼働を減らしながら昼間の再エネ発電量を増やすことで、燃料費と二酸化炭素(CO2)排出の削減につながる。

 NTTデータはデータ活用・分析のプラットフォーム構築、IoT機器制御に関する知見を持つ。共同研究ではマッチングを最適化する手法の検討を担う。中部電力グループ2社は事業の枠組みを検討する。

 3社は23年度、模擬システムなどでシミュレーションを行う。24年度にはフィールド実証を始める。

 中部電PGエリアでは23年度に初めて再エネ出力制御を実施した。最大の余剰が発生した6月4日午前10時30分~11時には、当日の再エネ発電能力の約25%に相当する223万キロワットを制御した。再エネ発電設備の導入量は伸び続けており、今後は出力制御の回数と量の増加が見込まれている。

電気新聞2023年8月23日