GX推進法が可決、成立した衆院本会議(12日、国会)

 新たな国債「GX経済移行債」の発行やカーボンプライシング(炭素の価格付け)の導入を盛り込んだ「GX推進法」が12日、衆議院本会議で賛成多数により可決、成立した。2023~32年度の10年間にわたってGX経済移行債を発行し、償還財源にカーボンプライシングの「炭素に対する賦課金」「排出量取引」で得た収入を充てる。GX経済移行債は20兆円規模を想定しており、これを呼び水に官民で150兆円規模の脱炭素投資を目指す。(2面に解説)

 一部を除き公布から3カ月以内に施行される。GX経済移行債の発行形式は法案成立後に詰めるが、建設国債など他の国債と区別して発行する方針。ただし、投資先によっては他の国債との統合発行も視野に入れる。歳入はエネルギー特別会計のエネルギー需給勘定で管理する。

 調達した資金は、再生可能エネルギーや水素・アンモニアの利用に関する技術開発に充てる。省エネ技術も支援対象となる。

 カーボンプライシングの炭素に対する賦課金は、化石燃料の輸入事業者などを対象に2028年度から始める。排出量取引は26年度から本格的に始め、33年度から発電事業者を対象に有償で排出する枠を割り当てるオークションを開く。

 詳細の負担規模は2年以内に詰めるが、負担が重いと企業の国際競争力をそぐ。一方、軽ければ脱炭素化が進まずカーボンニュートラルの達成が遠のくため、適切な負担感が求められる。排出量取引の運用は新たに立ち上げるGX推進機構が担うが、この組織の運営ルールも今後詰める。

電気新聞2023年5月15日