独グラフォースと、メタンを分離し水素燃焼

 
 川崎重工業はドイツのスタートアップ企業グラフォースと、二酸化炭素(CO2)を排出しないガスタービンコージェネレーションシステムの開発を進めている。グラフォースは高周波プラズマ電気分解で炭化水素を水素と固体炭素に分離する技術を持つ。生産した水素を川崎重工のガスタービンで燃焼・発電し、CO2排出ゼロとすることを目指す。LNGを利用すればカーボンニュートラル、再生可能エネルギー由来の合成メタンを利用すれば、大気中の炭素量を実質的に減らす「カーボンネガティブ」と見なせる可能性もある。

 グラフォースは2012年設立。同社のプラズマ電気分解技術は4キログラムのメタンから1キログラムの水素と3キログラムの固体炭素を生産でき、その際の消費電力量は10キロワット時という。固体炭素は樹脂製品や電池材料、路盤材などとして安定的に利用することができ、大気には放出されない。

 川崎重工現地法人のカワサキ・ガスタービン・ヨーロッパとグラフォースがドイツで開発を進めるガスコージェネシステムは、水素だけを燃やして発電するため、CO2を排出しない。電力の一部はプラズマ電気分解装置での水素製造に再利用される。CO2を含まない高温の排ガスは工業プロセスに用いることを想定する。

 特に、高温熱と大量の固体炭素を必要とする化学産業向けに導入すれば効果が大きいとみられる。また、産業向けだけでなく、周辺地域へCO2排出ゼロの暖房用熱源を提供することも視野に入れる。

電気新聞2023年1月30日