テープカットで実証研修拠点の開所を祝った湯崎知事(右から4人目)ら関係者

 

NEDOが整備

 
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が広島県大崎上島町の中国電力大崎発電所構内で整備を進めていた、二酸化炭素(CO2)を資源として有効活用するカーボンリサイクル技術の実証研究拠点が完成した。大崎クールジェン(広島県大崎上島町、菊池哲夫社長)の石炭ガス化複合発電(IGCC)実証試験設備から分離・回収したCO2を活用する。隣接する発電所から直接CO2の供給を受けて研究を行う施設は日本で初めて。

 14日の開所式には里見隆治・経済産業大臣政務官、広島県の湯崎英彦知事ら約50人が出席し、完成を祝った。里見政務官は「カーボンリサイクル技術はカーボンニュートラル実現には欠かせない技術」と強調。「技術開発の集中的な実施など重要な役割を担う拠点が開所し、大きな一歩が踏み出された」と期待を示した。

 実証研究拠点は「実証研究エリア」「基礎研究エリア」「藻類研究エリア」で構成される。

 実証研究エリアは、屋外の敷地にCO2などを供給するインフラ設備を整備。CO2を有効利用したコンクリートの研究開発、ペットボトルの原料となるパラキシレンを効率よく製造するための触媒とプロセスの開発などを実施している。

 基礎研究エリアでは、CO2と水素からLPガスを製造する技術の研究開発、CO2を炭素源にして産業廃棄物から炭化ケイ素(SiC)を合成する技術の研究などを行っている。

 藻類研究エリアは、微細藻類の培養分析に必要な設備を有する。微細藻類を用いたSAF(持続可能な航空燃料)の産業化に向けた製造技術の検証・標準化に取り組んでいる。

電気新聞2022年9月15日