明電舎が開発着手
明電舎は29日、直流配電系統向けスマート半導体変圧器(SST)の開発に乗り出すと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の再生可能エネルギー主力電源化へ向けた事業の一環。高圧交流の電気を低圧直流の電気に変換する一体型のSSTを開発する。現在主流の交直変換システムと比べて体積や重量を半減し、変換効率を2~3ポイント向上させることを目指す。事業期間は2024年3月までの予定。
太陽電池、蓄電池、電気自動車(EV)充放電設備、水素関連機器など、再エネの安定利用につながる供給設備や負荷機器の多くは直流で動作する。そのため、交直変換に伴う損失の削減につながる直流配電系統の技術開発が活発化している。
現在主流のシステムは、高圧交流をまず商用周波変圧器に入力し、低圧交流に変換。さらに低圧交直変換器に入力することで低圧直流を取り出す。今回開発に取り組むSSTシステムは、数十キロヘルツの高周波電力変換器と高周波変圧器をモジュール化。これにより、高圧交流50ヘルツ・60ヘルツを入力すれば低圧直流を出力する一体型のシステムを実現させる。
入力は6600V、出力は1千kVAを目指す。従来システム比で体積は50%、重量は60%削減することが目標。設置空間や耐荷重の制約がある場所でも配電システムの構築を容易にする。変換効率も従来システム比2~3ポイント改善し、最高98%以上を目指す。
長岡技術科学大学、大阪大学大学院工学研究科、ポニー電機(群馬県藤岡市、長井真一郎代表取締役)と共同で取り組む。明電舎では成果を踏まえて社会実装を検討する考え。
電気新聞2022年6月30日