勿来に次いで商用運転を開始した広野IGCC発電所

 広野IGCCパワーは19日、広野IGCC発電所(福島県広野町、54万3千キロワット、発電端)が同日営業運転を開始したと発表した。空気吹き石炭ガス化複合発電(IGCC)を採用した世界最新鋭の設備で、熱効率は約48%(送電端、低位発熱量基準)。今年4月に運開した勿来IGCC発電所(福島県いわき市、52万5千キロワット)と並び、福島復興や日本の最新の火力発電技術をアピールする。

 19日午前に商用運転を開始した。発電所建設と今後の運営を手掛ける広野IGCCパワーは2016年に創立。三菱商事完全子会社の三菱商事エナジーソリューションズが40%、三菱重工業が40%、三菱電機が10%、東京電力ホールディングスが10%出資している。

 IGCCは高温・高圧のガス化炉内で固体の石炭をガス化しガスタービンで燃焼・発電する。ガスタービンの排熱をボイラーで蒸気に変え蒸気タービンも回す。2つのタービンを組み合わせ発電するため、超々臨界圧式など従来型の石炭火力に比べ熱効率が6%程度上がる。これにより二酸化炭素(CO2)排出量を約15%低減した。

 ガス化を行うため、これまでは発電に利用できなかった低品質の石炭も使える。石炭の安価な獲得につながり、エネルギー安全保障に貢献する。

 広野IGCCは18年4月に建設が本格化。20年12月に初並列し、21年3月からは石炭のガス化を開始。定格出力性能の確認を経て運開に至った。同発電所は勿来IGCCとともに「福島復興電源」として、福島の経済復興や雇用創出への寄与が期待されている。

電気新聞2021年11月22日