関西電力は舞鶴発電所に液化CO2出荷基地を建設する

 関西電力は20日、舞鶴発電所(石炭、90万キロワット×2基)に液化二酸化炭素(CO2)出荷基地を建設すると発表した。同日に日本CCS調査(東京都千代田区、中島俊朗社長)と契約を締結した。日本CCSなどはCO2回収・利用・貯留(CCUS)実用化へ向けた船舶輸送の実証試験を計画しており、その出荷拠点となる。関電などはこれと別に、固体吸収材を用いたCO2回収実証を同発電所で計画する。それぞれで技術の有効性が確認できれば、CCUS実用化が大きく前進する。

 日本CCSなどが行う実証は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業の一環として実施。エンジニアリング協会、伊藤忠商事、日本製鉄も参画する。2026年度までの6年間で、予算は160億円を予定する。長距離・大量輸送に適したCO2の液化と貯蔵システム、輸送用の船舶の開発を目指す。23年度末頃から年間1万トン規模の船舶輸送を行う計画で、北海道苫小牧市に新設する基地に輸送する。

 関電は「ゼロカーボンビジョン2050」実現へ火力の脱炭素技術の高度化に取り組む観点から同実証に協力。発電所敷地と排出されるCO2を提供する。

 その一方で、関電はこれらの輸送実証とは別に、経済的なCO2回収技術の確立を目指す固体吸収材の実証実験に、川崎重工業、地球環境産業技術研究機構(RITE)と取り組んでいる。同プロジェクトもNEDO事業の一環となる。既に舞鶴発電所敷地内でプラントの土木工事を開始しており、23年度に実験を開始する予定だ。

 舞鶴での両実証で、各技術の有用性や経済性の見通しが明らかになれば、官民で構想されるCCUSプロセス全体の確立が前進することになる。

電気新聞2021年10月21日